転職サービス「doda」が行った2021年コロナ禍の職種別「平均残業時間」の調査によると、デジタル化の拡大などにより「施工管理」の残業時間は前回より5.1時間減ったことが分かった。
パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda(デューダ)」は、20〜59歳のビジネスパーソン1万5000人対象で職種別に実施した残業時間調査の結果について発表した。調査期間は2021年8月19〜23日。
平均残業時間が多い職種には、インフラ整備や災害対策の需要が高まる「建築/土木系エンジニア」、ロボットやAI、自動化などの需要がさらに伸びている「モノづくり系エンジニア」がランクインした。建築業界は以前から慢性画的な労働力不足に陥っており、長時間労働者の割合が高い傾向にある。耐震対策や建物の老朽化に伴うインフラ整備などのニーズが高まり続けているにもかかわらず、手書き伝票などのアナログ業務がいまだに多く残っているため、残業時間が増えていると想定される。
一方、工事現場の施工や予算・安全面など、工事に関わる全ての管理を担う「施工管理」は、TOP20内で残業時間が減った唯一の建築系の職種であった。2021年からクラウド型の施工管理システムの導入が急速に広がり、仕事のデジタル化が進みつつあることから、残業時間は前回より5.1時間減っている。
dodaの喜多恭子編集長は、次のように述べている。
「従来労働時間が他産業と比べて長い傾向にある建設業界の中でも、仕事のデジタル化が進む『施工管理』は残業が減りつつあります。これは、コロナ禍で続くリモートワークやオンラインサービスの普及、支払いのキャッシュレス化をはじめする業務の自動化などが、残業時間の減少につながっていると考えられます。このように、残業時間削減のカギを握るのは、仕事の『デジタル化』であることは言うまでもありません。一方で、残業時間の削減は収入に影響を与え、収入の減少が働く人々の仕事へのモチベーションを下げかねません。企業は、残業手当ありきの給与形態を見直すなど、制度の在り方自体の検討が必要かもしれません」
2021年4〜6月の3カ月の平均残業時間は、全職種の月平均が20.8時間で、前回の20.6時間と大きな変化は見られなかった。前回から残業時間が最も減少したのは「教育/スクール」、増加したのは「電機メーカーの営業」であった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.