三井住友建設は、東京工業大学科学技術創成研究院未来産業技術研究所吉敷祥一准教授と共同開発した損傷制御型トラス梁構法「雷靭(RAIJIN)」の設計法を確立した。経済的な設計が可能となり、地震時の被害低減と早期復旧を実現するレジリエントな大空間構造の構築を実現する。
三井住友建設は、損傷制御型トラス梁構法「雷靭(RAIJIN)」の設計法を確立したと発表した。同構法は東京工業大学科学技術創成研究院未来産業技術研究所吉敷祥一准教授と共同開発し、特許・商標出願済みである。さらに、日本ERIの構造性能評価を取得し、一般確認申請での設計が可能となった。
同構法は、梁両端部付近の下弦材部分に座屈拘束部材を組み込んだ構造で、地震によって生じる力と変形はこの座屈拘束部材が吸収するため、斜材や上弦材、下弦材の座屈を防ぐことができる。また、変形能力に優れた梁部材として扱うことも可能だ。
同構法により設計時の地震力を低減できるため、鋼材の断面積を小さくできるなど経済的な設計が可能となった。特にこれまで困難だったトラス梁とH形鋼梁による構造フレームを組み合わせた建築物、および構造フレームを多層とした建築物の経済設計を高めることができる。
この構造形式を有するモデル物件の試算によると、要求される耐震性能を満足しつつ、10%程度の鋼材量の低減効果が期待できる。また、第三者評価機関による技術性能評価を取得済みの座屈拘束部材を使用するため、安心・安全を保障した耐震性能を確保でき、大地震後も簡易な点検のみで工場や事業所などの生産活動を早期に再開できるとしている。
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