三井住友建設は、発注者立会検査で、iPadにより現場と事務所などを結び、無駄な時間を削減し、新型コロナウイルス感染症対策としても有効な遠隔検査システム「遠検」の実用化に成功した。
三井住友建設は2021年1月末、建設現場での発注者の立会検査で、タブレット端末を用いて遠隔地間をオンライン接続し、映像・音声・調書の表示・記入などをリアルタイムに共有する遠隔検査システム「遠検」を開発したと公表した。既に関越自動車道の松川橋床版取替工事で初適用し、移動時間の短縮など受発注者双方の業務効率化を実現するとともに、3密(密閉・密集・密接)を回避して新型コロナウイルスの感染防止に役立てた。
遠検は、iPadに対応し、受発注者双方が検査時間にアプリケーションを起動(ログイン)するだけで、遠隔地間での検査が可能になる。タブレット内蔵カメラを利用することで、現場の映像確認と音声通話をリアルタイムに行い、あらかじめクラウド上に各種調書を保存しておけば、ダウンロードすることで現場で画面表示することができる。
また、調書への数値やメモ、発注者の確認サインは、タッチペンで直接画面に書き込んでクラウド上に保存。また、検査の様子を動画で録画して、記録保存することにも対応している。
現在、複合的な大規模工事では、施工箇所が離れている現場が多く、立会検査の都度、移動時間や待ち時間などが発生している。国土交通省も受発注者の作業効率化を図り、契約の適正な履行として施工履歴を管理するため、「建設現場の遠隔臨場に関する試行要領(案)」を発表しており、加えて新型コロナウイルスの感染防止対策として、人と人とが接触しない検査方法の導入が求められている。
そこで三井住友建設は、検査時の移動時間や待ち時間などの削減と、接触防止を目的とした立会検査の方法に着目し、遠隔地からでも検査に参加する遠隔検査システム開発に着手した。今後は、メモ機能のさらなる充実など、システムの拡充を進めていくとしている。
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