三井不動産がビル管理研修施設を開設、屋内で実際の火を使用する消火体験が可能プロジェクト(2/3 ページ)

» 2021年03月15日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]

什器の下敷きになった人の救出訓練が可能

 被災再現室は、地震の被害を受けたオフィスをイメージした部屋で、配置された等身大の人形を用いて、什器(じゅうき)の下敷きになった人の救出訓練を行える。

被災再現室

 エレベーターについて、三井不動産の担当者は、「日立ビルシステムと共同開発したスケルトン構造のエレベーターを用いて、地震、火災、停電時の管制運転や閉じ込められた要救助者の救出、非常呼び戻し運転を学習できる。スケルトン構造のエレベーターは、内部が見える構造になっているため、稼働時の動作が分かりやすい他、エレベーターの停止位置を任意の場所に変えられるため、多様なシチュエーションでの救出訓練に応じられる」と解説した。

 エレベーターの管制運転とは、地震や火災の発生時に、乗客を避難階に運んだ後、運転停止状態にし2次災害を防ぐ運転を指す。

スケルトン構造のエレベーター

 防災センター研修室は、高層ビルの防災センターを表現したレイアウトで、研修用の火災受信盤や非常用兼業放送架、自火報訓練盤、屋内電力のモニタリングシステムを使用し、建物内で出火した際のエレベーターと火災受信盤の動きや避難誘導のアナウンス、館内停電時の電力状況と非常用発電機の効果、受変電設備の制御方法を知れる。

 火災受信盤とは、施設内に取り付けられた感知器や発信機からの火災信号を受信し、火災の発生を音や画面での表示で知らせるとともに、館内の音響装置を鳴動させ、来館者にも周知するもの。非常用兼業放送架は、地震発生時の震度表示や館内放送が行える設備。自火報訓練盤はさまざまな火災感知器の発報状態を理解する機器。

防災センター研修室

 設備研修室は、建築付帯設備や衛生設備、空調設備、熱源設備、ガス消火設備のゾーンから成る。建築付帯設備ゾーンでは、自動ドアやシャッター、防火扉などを使い、調整・点検の研修が可能。空調設備ゾーンでは、給排水システムの調整と点検の研修に応じており、さまざまなタイプのトイレと手洗い器具の修理方法も学べる。

設備研修室

 空調設備ゾーンは、空調機や送風機、ダンパー、ダクトなど、通常は天井の裏にある機器の操作と点検を体験可能。熱源設備ゾーンでは、空調熱源システムの運転や調整、点検の手法を把握する。ガス消火設備ゾーンでは、電気室などで利用する窒素ガス消火設備の操作方法を習える。

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