事業部別の説明では、日本HP 専務執行役員 パーソナルシステムズ事業統括 九嶋俊一氏が、2019年に外資メーカーで初の首位を奪取したHP製PCの優位性について解説した。
重さ1キロ以下の「HP Elite Dragonfly」や世界最小を謳(うた)う13.3インチ「HP Spectre x360 13」といったビジネスコバーチブルPCに加え、フルHDのディスプレイが2枚搭載されたゲーミングPC「OMEN X 2S」などの新機種が躍進を下支えしたと振り返った。
VR関連では、NTTドコモや米Symmetry Dimensionsと実証実験を進める建築/土木業界向けの「デジタルツイン構想」を紹介した。
デジタルツイン構想は、実世界の位置や空間情報をサイバー空間上に再現するプロジェクト。一連の流れとしては、まずドローンで取得した点群の地形データを、高性能なHP ワークステーションに搭載したSymmetryのデータ高速処理技術によって、高速レンダリング。2020年からサービス開始が予定されている“5G”を活用し、現場から遠く離れたオフィスや海外の案件で日本本社へと大容量データを送信する。受け取った側は、2K高解像度が特長のWindows Mixed Reality(Windows MR)ヘッドセット「HP Reverb」を装着し、仮想空間を通して、現場の状況をモニタリングすることができるようになる。
構想が実現すれば、遠方にいても現場にいるかのような環境で、測量や調査、現場管理が離れた場所から行えるようになり、建設業で長時間労働の主な原因とされていた移動時間が解消され、業務効率化につながる。
「広帯域と遅延の少ない5Gによって、これまで不可能とされていた数十億点もの精密な3次元地形データが、即時にVRデータへと変換され、その映像がリアルタイムで配信できるようになる。これまでに無い新しい事業モデルの創出につなげていきたい」(九嶋氏)。
構想自体は、国土交通省が先導役となっているi-Constructionの“ICTの全面的な活用(ICT土木)”に呼応するもので、将来は、地形情報の上に、インフラ構造物、人口分布、風の流線などを載せ、遠隔からの効率的なインフラメンテナンスに活用することが想定されている。
デジタルプレス事業については、日本HP 常務執行役員 デジタルプレス事業本部 本部長 岡戸伸樹氏がプレゼン。「デザイン&テクニカル(CAD・GIS)をはじめ、サイン・ディスプレイ、商業印刷、テキスタイル、ラベル、パッケージの6つから成るグラフィクス市場は、グローバルで5.5兆円規模で、どのセグメントでも高い伸びが見込める。新規、成長、豊かな体験創出の3つのアプローチで、アナログからデジタルへの加速を進めていく」。
とくに“新規”事業のテキスタイル市場への参入は、ファッション/スポーツウェアなどで1.5兆円のマーケットが現在あり、これからも世界人口の増加とともに拡大が予測されるため、2019年8月に発売した「HP Stitch S シリーズ」で、市場開拓の意義が大いにあると強調した。
“成長”では、デジタルオフセット機「HP Indigo印刷機」やインクジェットデジタル輪転機「HP PageWide Web Press」を提案し、出版業界のデジタル化と、小ロット多品種の段ボール印刷を起点にしたオフセットからインクジェットに転換する包装業界のDX(Digital transformation)を掲げる。
“豊かな体験創出”では、新元号「令和」発表の29分後に、HP Indigoデジタル印刷機でラベルが印刷され、わずか1時間半でJR「新橋」駅前で無料配布されたコカ・コーラの令和ボトルキャンペーンを一例に、印刷物特有の付加価値で、体験を創出することを狙う。
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