晴海に隈研吾氏が監修した「CLTパビリオン」が誕生、1年後には産地の真庭市へ移築CLT(2/4 ページ)

» 2019年12月06日 12時16分 公開
[石原忍BUILT]

壁や床ではなく、CLTパネルを「梁」で使用

 CLT PARK HARUMIの全体スケジュールとしては、2019年6月26日に着工し、竣工は同年11月29日。12月14日の開業から1年後の2020年秋には、解体工事に着手し、同年冬に真庭市の国立蒜山公園内に移設される。

 敷地内には、中央に位置する高さ18メートルのパビリオン棟と、それを囲むように配された屋内展示棟A/B棟がある。パビリオン棟は、CLTパネルを構造材料として採用したこれまでに無い試みで、梁(はり)の一部分をCLTで構成。鉄骨の柱とCLT梁の組み合わせという、新たな混合構造の可能性が示されている。

 構造自体はラーメン構造とし、鉄骨柱とパネルを接合する鉄骨部分は、CLTパネルに挿入した鋼板をドリフトピンで留めることで一体化。さらに移築を想定して、鉄骨柱と接合部の間は、ボルト接合とすることで、各パネルがボルトの取り外しだけで、鉄骨の接合部を付けたまま運搬できるようにしている。真庭市での施設維持も当初から考慮されており、数メートルの積雪にも耐えられることが、構造設計段階から想定されている。

7枚の板材で組み合わされたCLTパネルに挿入されている鉄骨の接合パーツ
ボルト接合された鉄骨柱とパネルを接合する鉄骨部分

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CLTで“循環型社会”を実現!隈研吾×三菱地所×真庭市の「CLT 晴海プロジェクト」始動

 三菱地所と隈研吾建築都市設計事務所、岡山県真庭市の3者は2019年2月14日、東京・晴海地区で、CLT(Cross Laminated Timber/直交集成板)を用いて、国産材の利用促進と地方創生を目的とした「CLT 晴海プロジェクト」を始動させた。

 プロジェクトでは、真庭市で伐採されたスギ・ヒノキをCLTに用い、東京五輪開催に合わせたイベント施設を晴海に建設する。2020大会終了後には、生産地・真庭市の国立公園へと施設を移築し、地域のランドマークとして再生させる。

使用されている真庭市産ヒノキのパネル枚数は?

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