TIアサヒは、災害調査やインフラメンテナンスに最適化した地上型3Dレーザースキャナー「PENTAX S-3200V/S-3075V」を発売。S-3200Vの最大測定範囲は2000mと、地表面からでも1回のスキャンで広範囲にわたる計測を実現した。その精度にも優れ、1回のレーザー照射で4つのリターン信号を記録でき、植生と地表面のデータも分離可能とした。同社では今回を皮切りに、新製品を連続でリリースしていく。
PENTAX(ペンタックス)計測機器を製造・販売するTIアサヒは2019年2月21日、2000m(メートル)の長距離測定を実現し、災害時における各種測定やインフラメンテナンスなど、広範な用途に対応可能とした地上型3Dレーザースキャナー「PENTAX S-3200V/S-3075V」の国内販売をスタートする。
今回発売する地上型3Dレーザースキャナーは、いずれも高密度な近距離測定データの取得はもとより、S-3200Vは最大2000m、S-3075Vは750mの長距離測定を実現しながら、レーザークラス1の高い安全性も備えている。操作方法も簡単で、トータルステーションといった一般的な測量機器を使いなれていれば、容易に理解できる仕様になっている。
主な用途には、災害時における地滑りのモニタリングをはじめ、道路・橋梁(きょうりょう)・ダム・岸壁など大規模構造物の計測に対する需要を見込む。同スキャナーは、計測対象範囲外まで測定するようなムダな動作も生じないため、これらの用途に対して極めて効率性の高い作業が可能であるという。
機能の詳細は、測定可能範囲がS-3200Vは2000・750・250m、S-3075Vは750・250mの切り替え、レーザー反復レートはいずれも最大500kHz(キロヘルツ、250m選択時)。1回のレーザー照射で4つのリターン信号が記録可能なため、植生と地表面のデータも分離できる。レーザーヘッドを鉛直方向に回転することなく、必要とする範囲だけの効率的な測定を実現している。
カメラは、記録した点群データを効率よくカラー化するため、画素数5Mpixel(メガピクセル)のものを2個内蔵している。水平方向360度の記録であっても、9カ所のみの撮影で済み、短時間で完了。遠距離の点群データについては、オプションの外付け高画質一眼レフカメラを取り付けることで、より正確なカラー化が可能になっている。
操作用パネルは、太陽光の下でも視認しやすい高視野角の5.7インチカラー液晶を採用。感圧式タッチスクリーンにより、手袋を着けたまま操作できる。事前に、オフィスで測定計画を作成して本体に取り込んだ上で、測定現場では対話形式で位置の確認が行え、後視点法・後方交会法で機械点座標を記録して測定を始められるという。
各種センサーは、1周波GNSS受信機(単独測位法)・2軸傾斜センサー・コンパスを搭載し、これらの位置情報を利用することで測定計画通りに作業を進められる。位置と姿勢情報はスキャンデータとともに記録される。
測定計画やスキャナーとの接続・制御、点群処理(レジストレーション含む)などは、ソフトウェア・ATLAScanでデータ処理。カメラからの画像、点群データを同ソフトで処理・生成した点群、メッシュ、CADなどの各種データは、E57、PTC、LAS、PLY、RUP、TXT、PTS、DXFといったさまざまなフォーマットで出力可能だ。
ATLAScanのレジストレーション機能では、前述した内蔵センサーの情報を利用して評定用ターゲット不要のプリレジストレーションをはじめ、測定現場で後視点法・後方交会法により割り出した機械点座標を用いたジオリファレンス、ハンドル調整法を利用したファイン・レジストレーションなどが行える。
このほか、2個のLi-ionバッテリーを装着することにより、最大で2時間半の運用が可能。電圧が低下してきた際、片方のバッテリーを充電済みのものに交換できるホットスワップ機能も備えている。
なお、耐環境性能は次の通り。動作温度範囲/−20〜+50度、湿度/95%(結露しないこと)、防塵(ぼうじん)・防水規格/IP64。
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