大成建設は、BIMを活用して、設計段階で、監視カメラの適切な配置を検討できるツール「T-Sight simulator Security」を開発した。
大成建設は、BIMを活用して監視カメラの視認範囲をあらかじめシミュレーションで把握し、建築空間の設計段階で、監視カメラの適切な配置を検討できるツール「T-Sight simulator Security」を開発した。施設の内外をはじめ、より広域な街区単位での効率的・合理的な監視カメラの配置計画が可能となる。
これまで監視カメラの配置は、平面図を用いて設置場所や撮影角度を決めていた。そのため、壁・柱などで、死角のできやすい建物内外の建築空間やより広域な街区では、事前に空間全体を漏れなく撮影できるようなカメラを配置することは難しいとされていた。
そこで大成建設では、2016年に座席からの見通しを解析するツール「T-Sight simulator」を開発し、劇場やスポーツ施設での観客席の配置設計に適用してきた。今回、T-Sight simulatorの機能を拡張して、監視カメラによる空間の見通しを解析、可視化することで視認範囲を把握し、死角のない適切な監視カメラの配置を事前にシミュレーションできるツールを開発した。
T-Sight simulator Securityはカメラ性能(画質、画角、被写体との距離に応じた解像度)を考慮し、カメラ設置位置からエリア全体や被写体がどの程度の範囲や解像度で視認できるかを解析することが可能。カメラの死角やカメラから距離が遠いため有効な解像度の画像が得られないエリアも把握できる。
シミュレーションでは、全てのカメラ映像に基づく、エリア全体や被写体の視認状況の解析結果を1枚のマップにまとめ、色別表示などで可視化。エリア内でどの程度視認できるかを一目で確認することも可能になる。
このシミュレーションではBIMを用い、複雑で大規模な建築空間や広域な街区でも、カメラ配置による視認状況の解析、可視化を数時間で完了し、迅速に評価することにつながる。カメラの配置を繰り返し検討することで、合理的なカメラ配置計画の策定やカメラ台数の適正化に役立つという。
今後、大成建設では防災、防犯を目的に、交通施設、商業施設、スポーツ施設などの不特定多数の人が利用する施設はじめ、より広域な街の監視強化や安全性確保などのニーズに本ツールを適用を図っていく他、工場や倉庫などの作業状況やセキュリティの監視強化、医療・福祉施設での利用者の見守り強化などに幅広く活用していくとしている。
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