一貫構造計算ソフトとBIMソフト間のデータ連携は、メーカーの努力によって、最近では一定の成果を上げている。しかし、運用形態は構造計算者の求めるレベルにはまだ達していない。構造システムでは、双方のソフトをリンクさせ、建物データの整合性を確保できる連携ソフト「+Revit Op.」を開発した。
構造システムグループが主催する「建築とITのフォーラム」が2018年10月10日、東京・千代田区のソラシティホールで開催された。
本稿では、主催者の構造システムが開発した一貫構造計算ソフト「BUS-6」とBIMソフトウェア「Revit」をデータ連携できる2018年9月にリリースした「+Revit Op.」についての講演をレポートする。登壇者は構造システム取締役 安田正弘氏。
構造システムは、1996年にIAI日本(現・buildingSMART International)の構造分科会第2回から参加し、構造用のデータフォーマット形式「ST-Bridge」の仕様作成に関わった。一般的にBMI元年といわれる2009年から5年が経過した2014年にはBIMに対応する「BUS」「SNAP」といった同社の製品群が「ST-Bridge」に対応。2016年にはBIMの中間ファイル形式「IFC」にも準じた。
構造計算ソフト「BUS」、振動解析ソフト「SNAP」で、ST-BridgeとIFCの標準化に取り組んだが、BIMソフトでの利用状況が不明なだったため、BIMソフトユーザーへのヒアリングを実施。その結果、開発方針とユーザーのニーズが一致していないことが判明した。
そこで単にデータが連携できるだけではBUSが普及しないことが想定されたため、Revitと連携し双方向のリンクが容易に行えるシステムの開発を目指して、「新しいデータ連携のカタチ」を実現する「BUS-6 +Revit Op.」のプロジェクトが始動した。
目標としたのは、BUS-6とRevitの障壁のない双方向リンク。Revitプロジェクトのみでデータを管理し、Revitプロジェクトに構造計算で必要なBUS-6の荷重データと計算条件も統合した形で保存することのできるRevitアドイン。そして、将来の拡張も見据えた仕様とした。
+Revit Op.が開発される前、Revitと一貫計算ソフトのインポート/エクスポートのやりとりは、コンバーターを経由して、IFC、ST-Bridgeといった中間ファイルに変換して行っていた。この手間を解消したのが+Revit Op.で、Revitアドインのため中間ファイルは不要となり、Revit=BUS-6間で双方向のモデル連携を実現した。両ソフトで何回行き来したとしても、モデルの形状は変わることもない。
+Revit Op.の仕組みとしては、BUS-6はアドインソフトのため、Revitの管理下に置かれ、一体製品の様に動作する。BUS-6で行った修正は、RevitのRVTプロジェクトファイルにデータ保存される。さらにRVTファイルには、構造計算で必要な荷重と各種計算条件データも格納される。つまり、Revitプロジェクトファイルが保存されていれば、BUS-6上で計算結果が再現されることが可能になる。
以下に、部材断面形状、荷重データ、計算条件などのデータ連携をコンバーターなしで行っている作業フローを示す。
続きのBUS側の作業フローは次ページに続く。
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