大成建設は3DCADソフト「Rhinoceros」と、メッシングツール「Griddle」を組み合わせて、地下構造物の3次元メッシュモデルを自動作成させる手法を確立した。この方法であれば、従来の10分の1にまで作業時間が短縮できるという。
大成建設は、複雑な地下構造物の設計・施工に必要となる3次元数値解析モデルの作成時間を従来の10分の1程度まで高速化して、自動作成できる解析手法を構築し、運用を開始した。この手法を使えば、短期間で地下構造物の複雑な構造の把握と、施工手順を反映させた合理的な設計・施工が可能となる。
大成建設が開発した手法は、3次元CADソフト「Rhinoceros」で作成した3Dモデルを、自動メッシュ作成機能を持つプラグイン「Griddle」で精度の高いメッシュに自動で分割。3次元の数値解析モデルが作成されることで、地盤や岩盤の変形解析を得意とする3次元数値解析ソフトウェア「FLAC3D」で数値解析が可能になる。
従来方法に比べ、作業時間は10分の1ほどに短縮され、構造解析に関わる業務の大幅な効率化と省力化が実現。コスト低減にもつながることから設計・施工の合理化が図れるという。
これまで、地下のトンネルや駅舎など、複雑な構造の地下施設の詳細検討には、施工に伴う構造物の状態や周辺建物、地盤への影響を確認する必要があり、そのため施設や地層の構造、施工手順を忠実に再現した3次元数値解析モデルの作成が求められていた。
しかしこれまでは、2次元メッシュ断面を奥行き方向に引き延ばし、全体メッシュの作成だけで2カ月以上も要していた。さらに構造物構築時の施工手順を反映したモデルの作成も困難だった。
新手法では、全体メッシュに加え、トンネル工事などの部分的な工事を行う場合の局所的範囲の施工手順を示したメッシュも含め、作成期間はおおよそ7日間で済むという。複雑な地下施設や地層の構造も、自由度の高いRhinocerosであれば忠実に再現。詳細検討も施工手順を反映した3次元数値解析モデルで行えば、状況に応じた設計・施工の計画策定や変更が的確に行えるようになる。
一般的に3次元モデルをメッシュに分割して解析する方法は、構造の形状を簡略化して手間を省くなど、専門的な知見と経験に加え、高度なスキルが必要だった。新手法では、自動でメッシュを高速作成するため、数値解析に関する特別なスキルを必要としない。
大成建設では今後、この解析手法を活用して、トンネルや備蓄タンクなどのさまざまな地下構造物プロジェクトの設計・施工の検討および施工法の技術開発に導入し、より合理的な設計と施工品質の向上を目指していくとしている。
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