古河産業は、各自治体が対応を急ぐ、道路標識や街路灯といった「小規模附属物」の点検を効率化し、現場での一括処理も実現したタブレット端末向けアプリの販売をスタートする。同製品は、2018年7月18日〜20日に東京ビッグサイトで行われたメンテナンス・レジリエンスTOKYO 2018内の「第10回インフラ検査・維持管理展」にて披露された。
古河電工グループの古河産業は、AR技術によって点検業務の効率化をサポートするワンストップサービス「道路附属物点検支援システム」を発表。2018年8月1日から道路標識や街路灯といった小規模附属物の点検を支援するタブレット端末向けアプリの販売をスタートする。同アプリの開発とマーケティング活動は古河電工、受注活動からソフト使用ライセンスの発行、ソフトのメンテナンス業務は古河産業が担う。
今回開発した「道路附属物点検支援システム」は、点検現場で担当者が道路に向けてタブレット端末をかざすと、AR技術によって点検対象物の画像が自動表示されるというもの。これは、点検対象物の緯度・経度情報が入力された調書ファイルと、タブレット端末に接続されたGPSシステムを組み合わせることで実現している。
非常に手間のかかっていた点検対象物の写真仕分けも、「リブ取付溶接部」や「標識板」などの構成部材ごとに自動で振り分ける機能を搭載。加えて、タブレット端末のカメラを活用すれば、点検現場で調書の作成業務まで完了できる仕様になっている。システムの開発協力は中電技術コンサルタント。
これらの機能により、従来の点検者が調書を現場に持参し、目視による場所の特定を行った上で、対象物の状態をメモし、事務所に戻ってファイルに入力する、といった作業の流れを一新。大幅な点検業務の効率化を図れることから、これまでに要していた時間と労力の30%以上は削減が見込めるという。
開発の背景として、高度成長期に建設されたインフラ構造物の老朽化が進む中、点検業務に関わる人材・資金不足を解決する点検システムの開発が求められていた。実際に2017年3月には、国交省から「小規模附属物点検要領」が示されるなど、道路標識や街路灯の点検義務化には至っていないものの、各自治体の担当者は対応に追われている。自治体の規模にもよるが、案件一つあたりの点検対象物は平均1000基に上る中、従来の作業工程では1日20基ほどしか点検できない実情があった。
同システムでは、国交省をはじめ各種自治体の点検調査フォーマットに対応し、データ移行時の作り変えも不要としている。
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