省スペース・高収容設計の機械式駐車場、パーク24に導入

駐車場運営の最大手パーク24が建設を進める東京・品川区西五反田の本社ビルに、技研製作所の地下駐車場「エコパーク」が採用された。エコパークは、平置式に比べて省スペースで済み、工期短縮や運用コストの削減なども期待できるエコ駐車場だ。

» 2018年07月17日 13時00分 公開
[石原忍BUILT]

 技研製作所は2018年7月9日、製造・販売する機械式駐車場「エコパーク L型」2基が、東京・品川区西五反田に建設中のパーク24新社屋の地下駐車場として採用され、7月に工事着手したことを公表した。

入出庫システムはコンピュータ制御で自動化、出庫待ち時間はわずか25秒

 新駐車場は、駐車場運営企業のパーク24が、新社屋に掲げる「人とクルマが調和する街づくり」のコンセプトに沿った駐車場として採用された。決め手となったのは、省スペース・高収容設計に加え、高速な出庫、安全性の高さなどが評価された。

 エコパークは、「地上に文化を、地下に機能を」という理念のもと、技研製作所が開発した全自動機械式の地下立体駐車場。独自の施工技術により、20×20mの(メートル)スペースさえあれば導入することができ、敷地を確保しにくい市街地でも、駅や商店街といった目的地と駐車場のドア・ツー・ドアを可能にするコンパクトな駐車場システム。

エコパーク2基の設置イメージ 出典:技研製作所

 今回パーク24に採用されたのはエコパークのL型。対象となる自動車は全長5400×全巾2020×全高2300mm(ミリ)で、1基につき50台までを収容できるため、導入されたビルには2基あわせて100台の駐車スペースが確保されることになる。施工時には、既設のビル基礎を利用するため、今回に限っては圧入工法は行わずに機械装置と入出庫ブースの設置を行う。竣工は早ければ2019年春ごろの見通し。

 駐車場の運用面では、入出庫システムはコンピュータ制御で全て自動化。センサーで幾重にもチェックされているため、高い安全性が保持される。無人の運転システムのため、大幅なランニングコスト軽減にもつながる。

 入出庫はカードを読み込ませた後、声と表示による操作案内に従って自動車を所定の位置に停めるだけで、機械が自動収納する仕組み。機械式の弱点といわれる出庫の待ち時間も、平均25秒と利用者にとってストレスフリーとなっている。

入出庫ブースの設置イメージ 出典:技研製作所

 通常のエコパークの施工方法は、まず専用杭材を杭圧入引抜機(サイレントパイラー)で円を描くように杭材を圧入した後、連続壁の内部を掘削。次に、出来上がった円筒形の地下空間に駐車機械を設置し、地上部に入出庫ブースを配置して完成となる。

通常のエコパーク施工ステップ 出典:技研製作所

 杭材を圧入することで構築される連続壁を、そのまま耐震構造壁とするため、工期短縮につながり、実働100日間程度のスピード工法が実現する。圧入工法は、従来工法であれば、大型建設機械を搬入して道路をストップし、長期間にわたって工事を行う必要があったが、圧入工法であれば全体の工期が短縮されただけでなく、騒音・振動もないため、都心部であっても周囲への工事の影響もほとんどないという。

 使用している施工機械は、エコパーク専用に開発されたもの。連続壁の建設から入出庫ブースの設置まで、仮設レスでシステム施工する自己完結型の工法となっている。入出庫ブース以外の駐車スペースは全て地下化されるため、景観に影響を与えることも無い。

 同社では、ビルの地下空間への組み込み型「エコパーク」は、全国的に増加が見込まれている再開発案件などでも採用拡大が期待されるため、パーク24での導入をモデルケースとして、国内外へのさらなる普及拡大を図るとしている。

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