成田空港は2018年6月28日、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、日本の表玄関の役割とともに、将来を見据えた機能強化や利便性・快適性向上につなげる基本方針および具体的な取り組みを明らかにした。
成田空港は2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、保安検査体制の強化や臨時ターミナルの整備、ユニバーサルデザインの充実、おもてなしの空間演出などの各種施策を行う。
保安検査体制では、爆発物の自動検知機能を有し、3D映像で全方向からモニター確認が可能なCT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)型のX線検査装置を2019年度中に導入し、2019年9月末〜2020年3月に順次運用を開始する。設置台数は、第1ターミナルの北ウイングに1台と南ウイングに2台。第2ターミナルには3台、第3ターミナルには1台を設置する。
第1・2ターミナルの保安検査場も拡張し、最新の保安検査設備であるスマートセキュリティレーンを配置する。検査効率を向上させ、待ち時間のストレスを軽減し、取扱処理能力を1.5倍増に高め、空港内の混雑緩和を実現する。
ターミナルは五輪閉会式の翌日に一斉に帰国する選手・関係者の安全確保や混雑を防ぐため、既存施設を改修して、チェックインカウンターや保安検査、出国審査を行う各国選手団用の臨時専用ターミナルを整備する。臨時ターミナルの運用期間は、オリンピック閉会式翌日から3日間(2020年8月10〜12日)のみ。
臨時ターミナルの改修部分は、第1ターミナルが、JALオペレーションセンターの1階と、第2ターミナルバスゲートを利用した2200m2。第2ターミナルは、第2ターミナル南側の暫定国内線施設と乗継施設の1750m2。2018年度内に設計を行い、2019年度内に着工して東京五輪までに間に合わせる。
また、閉会式翌日に一斉に帰国する選手・関係者の大量の手荷物に対応するため、臨時手荷物集積所を設置。
暫定貨物上屋の7棟(約1300m2/棟)を改修して、総延べ床面積約9000m2のスペースを確保する。ここで選手村での空港外チェックイン時に預かった手荷物の保安検査・仕分け・一時保管を行う。集積所は2020年8月9〜11日と9月6〜8日に運用する予定。
五輪に伴い増加が見込まれるビジネスジェット(BJ)に対しては、64機分の臨時BJ用スポットを設け、その大半が位置する整備地区には臨時のプレミアゲートも配置する。
ユニバーサルデザインは、「Tokyo2020アクセシビリティ・ガイドライン」(推奨基準24人乗り、標準基準17人乗り)への適合を図るため、ターミナル内主要動線のエレベーターを2カ所増設し、カゴの交換などの機能増強を2カ所で行う。館内エレベーターは2018年度内に工事に入り、運搬用は2018年度内の設計後、2018年度後半に着工し、順次供用を開始する。
トイレは、ターミナル内の全面リニューアルに合わせ、音声案内・フラッシュライト・L型手すりの設置、多機能トイレの機能分散、異性介助への対応など、ユニバーサルデザイン化を推進。第2ターミナル内は2018年9月末まで、第1・3ターミナル内は2019年度末までに整備する。
第1・2ターミナルの大規模改修に伴い、大型の案内サインを導入する他、2019年度末までに照明器具のLED化で空間全体の明るさ確保や視認性の向上を図る。
さらに2019年度末までに、案内カウンターの改修や障害に対する理解を深め、適切な接遇を行うためのボランティアを含めた研修の実施など、成田空港ユニバーサルデザイン基本計画に基づく取り組みを進める。
おもてなしの空間演出では、ターミナルビルの到着コンコースで、プロジェクター、液晶ディスプレイなどを活用し、訪日歓迎ムードや日本らしさを表現する空間演出を展開する。
第1ターミナルには第1〜3、5サテライトの4階到着コンコースに4カ所設置。整備距離は計150m、壁面積は計300m2の見込み。第2ターミナルには本館2階の到着コンコースに5カ所掲出し、整備距離は計100mで、壁面積は計200m2。いずれも2018年度末までに整備する計画。
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