政府は2018年6月8日、労働安全衛生法を改正した施行令を公布し、安全帯の名称を「墜落制止用器具」に変更した。
高所からの墜落による労働災害を防止するため、6.75m(メートル)以上の高所での作業にはフルハーネスの安全帯着用を義務付けることなどを盛り込んだ労働安全衛生法の改正で、施行令の一部を改正する政令が2018年6月8日、政府で公布された。実際の適用は2019年2月1日からの適用となる。
2m以上の高さで作業を行う者に、特別教育の義務化が明記される労働安全衛生規則(安衛則)は、管轄の厚生労働省から省令として2018年6月20日に公布される。
今回の労働安全衛生法の見直しは、諸外国の規制や国際標準化機構(ISO)の動向を踏まえて、安全帯を使用しても頻発している墜落災害の防止を目的に、安全帯が適切に使用されるようにルールを定めるもの。
今回公布された政令改正では、安全帯の名称を「墜落制止用器具」に変更。今後、安全帯という用語は使わなくなる。胴ベルト型のうち、U字つりタイプは、墜落制止用器具の定義から外されるため、使用することができなくなる。
厚労省では、より詳しく着用ルールを定めた労働安全衛生規則(安衛則)を2018年6月20日に公布する。この中では、特別教育の対象となる業務に、高さが2m以上で、作業床を設けることが困難な場所での業務を追加する。とび職などを対象に、事業者や団体主催の特別教育の受講を義務付け、安全対策への周知徹底を図る。
また、同時に、墜落制止用器具の構造規格も改め、規制を強化する。ISOに整合させつつ、日本人の体格を踏まえた独自の基準を設定。高さ6.75m以上での作業であれば、身体の複数箇所をベルトで支持する「フルハーネス型」の使用を義務付ける。
新たなルールや新規格などは、経過措置を一定期間置いた2019年2月1日から運用を開始。新規格に適合しない、2019年8月1日前に製造された安全帯や現在流通している安全帯については、2022年1月1日までの間はその使用が認められ、同月2日から使用が禁じられる。
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