インタビュー
» 2018年04月09日 06時00分 公開

行政インタビュー:どう影響する? 国交省がプロジェクションマッピングのガイドラインを策定 (2/2)

[石原忍,ITmedia]
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プロジェクションマッピングの企業広告は規制を受けるか?

――プロジェクションマッピングで放映される民間企業の広告に制限はありますか。

渡瀬 東京都が都議会議事堂で東京五輪まで3年となったことを記念して行った事例は、非営利かつ公共に資するという理由で、条例の対象外として特例的に行われた。実際には自治体ごとの判断になるが、ガイドラインでは一定程度の公益性があれば規制の適用除外としている。プロジェクションマッピングを制作・実施するには大きな費用が発生することもあり、民間企業の協賛なども必要なことから、公益性判断の1つの目安として、企業広告は3分の1までとする考えを示している。許可地域については、一例として、商業地域では壁面全体への営利広告の投影を可能とするといった案も提示した。

2017年7月24日に都議会議事堂に投影されたプロジェクションマッピング 東京都提供

――プロジェクションマッピングの事業者に対する周知はいかがでしょうか。

渡瀬 ガイドラインと合わせて、事業者向けに「実施マニュアル」も公開した。この中では、プロジェクションマッピングに関するルールの概要や、実施の手続き方法、これまでの事例などを紹介している。実際にプロジェクションマッピングを行う場合は、警察の交通規制などが関係する場合がある。まずは、巻末に掲載されている自治体の窓口を参考にして、事前に担当課と相談してもらいたい。

――今後の動きを教えてください。

渡瀬 3月30日の公表と同時に、屋外広告物行政を司る全国209の自治体に通知した。今後は担当者を集めた説明会などを行っていき、まずは2019年に日本で開催されるラグビーW杯に併せて、自治体で条例改正などが進んでいくことを期待している。

――屋外広告を取り巻く最近のトピックスは何かありますか。

渡瀬 ここ最近は、規制緩和の流れにある。森ビルが企画・運営する「TOKYO MURAL PROJECT」では、2017年10月に新虎通り沿道のビル壁面にアーティストが作品を描く試みがあった。建築物をキャンバスに見立て、アーティトが制作する公共アート(=ミュラール)のニーズがあることが分かった。既存の法令では壁面絵画も規制対象となるため、許可基準を緩めることが可能な「広告物活用地区」の制度活用を全国の自治体に周知徹底した。※「広告物活用地区」制度は、屋外広告物条例ガイドラインに既にある制度

 また、エリアマネジメントの一環で、通常であればできない歩道上の広告掲出は、公共的な取り組みに要する費用に充てるためのもので、良好な景観形成につながるものであれば、特例的に認める規制の弾力化を促している。デジタルサイネージ関係では、国の屋外広告物条例ガイドラインを一部改正し、多言語案内など、公共性の高い放映内容で、広告収入を設置・管理費に充当できる民間企業の広告であれば、歩道上でも許可する方向性を明示した。

 これからも、東京五輪の盛り上がりやインバウンドの高まりを受け、プロジェクションマッピングをはじめとした屋外広告物を活用する必要性は高まっていくと思われる。2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催地である東京都をはじめ、全国の自治体には、まちの活性化や都市の魅力向上に活用してもらいたい。

 また、民間企業の皆様には、各自治体に条例の改正などを促すよう、魅力的なプロジェクションマッピングの計画の提案をしていただきたい。

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