オプテックスは押して発電できる「電池レス」のドア用スイッチを開発。電池交換が不要で、施工の簡易化や、設備のメンテナンスや保守点検の作業負荷軽減が可能になるという。
センサーメーカーのオプテックス(大津市)は、押す力を利用して自ら発電(エナジーハーべスティング)し、通信に必要な電力を得る(無線電波送信)スイッチを開発。自動ドアの開閉用スイッチとして実用化したと発表した。まずは、需要の多い北米の病院やオフィスビルなどの施設向けに、2018年1月から販売を開始する。目標台数は初年度1万台。なお、同社によると、エナジーハーベスティング技術を搭載した電池不要の自動ドア開閉用スイッチは業界初の製品という。
北米では、手前または奥側にドアが開閉するスイングタイプ(開き戸)の自動ドアが主流で、ドア横などに開閉用スイッチを設置し、スイッチを押すことで自動ドアが開閉する。しかし、大きく重いドアや回転式の自動ドアは、身体障害者や高齢者などにとっては開閉や通り抜けが難しい。そこで開閉用のスイッチが設置されている。
これは、ADA(米国障害者法)により、米国の建築基準が改訂され、さまざまな建物や施設において、この基準に準拠した製品が採用されるようになったことが背景にあるようだ。また、病院や公共施設などでは、防火や防煙などの防火区画となる間仕切り用としての目的も備えたドアが多く設置されている。設置されたドアが非常災害時でも稼働できるよう、日々の修理点検が必須となっている。このように、多くの人が利用する自動ドア開閉用のスイッチには、省施工性(電源工事不要)と省メンテナンス性(電池交換不要)が求められてきた。
オプテックスでは、電源工事が不要だけど電池交換が必要、電池交換が不要だけど電源工事が必要といった課題に対し、「押す力を利用して自ら発電する技術」に着目し、この技術を搭載したスイッチの開発をはじめた。スイッチが押されるとカチッと鳴って発電し、スイッチから自動ドアの開閉の制御信号を送信する。
さらに、従来の2倍以上の耐久性を確保し、1日1000回の使用で約7年間のメンテナンスフリーを実現している。同社の開発した自動ドア開閉用スイッチは、ワイヤレスであるため施工が簡便な上、電池交換が不要であるため、メンテナンスや保守点検への作業負担を劇的に軽減することが可能となるとしている。
オプテックスは、同スイッチを、北米を皮切りに日本、欧州に向けて普及を促進する。また、高い耐久性のあるスイッチを他の用途にも展開し、バッテリーレス化を図り、節電や資材削減への貢献を目指すとしている。
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