竹中工務店はBIMデータを活用して、設備の施工管理業務を効率化する手法を開発。管理に必要なチェックリストの自動出力や、検査報告書の自動作成が可能で、作業時間を25%削減できたという。
竹中工務店は2017年11月、BIMを活用した設備施工管理業務の効率化手法を構築したと発表した。BIMを活用して施工状況を見える化し、管理に必要なチェックリストの自動出力や、検査報告書の作成を自動化できるようにすることで、作業時間を25%削減できたという。
これまで建築現場の施工管理では、施工状況の確認のために施工図から必要内容を転記したチェックリストを作成し、現地確認時にそのリストに確認結果を記入していた。こうした手作業によるチェックリストの作成や検査報告書の作成は多くの時間を必要とし、その効率化が課題となっていた。
そこで竹中工務店は、施工管理記録の作成時間の短縮を目指し、記録をBIM上で一元管理するワークフローを構築。コンピュータシステム研究所統合管理ソフト「BIM/CIM Ark」を用いて、主に3つの手法を開発した。
まず、BIMのデータ上で部材を識別できる属性情報を利用し、タブレット端末上からBIMに属性情報として施工管理記録を直接入力できるようにした。この施工管理記録は自動でチェックリストに変換可能だ。さらに、BIM上で色分けを行い、検査の実施状況を把握できるようにした。視覚的に検査の実施、未実施を確認できるようにすることで、特に部材が密集している箇所における検査作業の効率化に役立つという。最後に、施工検査の際に複数の部材をまとめて、系統として管理している設備は、系統ごとに確認結果を一括して記録できる機能を加えた。
実際に竹中工務店が設計施工を手掛ける東京都新宿区の作業所において、「スリーブ確認検査」と「配管水圧試験」を対象にこの新手法を実証導入。その結果、スリーブ確認検査においては、チェックリストの作成、現地確認、検査報告書作成までの一連の作業時間を25%削減できたという。
同社では今後、開発したBIMによる施工管理手法を自社のプロジェクトに広く展開していく方針。さらに。2020年までに測定機器とBIMの連動、FMシステムや機器台帳とBIMの連動へと拡大し、BIMを活用した施工データの一元管理による生産性の向上と、建物の付加価値向上を目指すとしている。
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