センサー開発・製造事業を展開するオプテックス(大津市)は、ビル管理を効率化するニーズを背景に、オープンシステムの普及が加速するビルオートメーション市場に参入する。その第1弾として、オープンシステムに対応した「在室検知センサ」を投入。オフィスやホテルなどのファシリティ環境に設置される照明や空調システムなどとセンサーを連動させることで、システムを最適にコントロールし、室内環境の快適化、省エネルギー化の実現をサポートしていく。
このところビルオートメーション市場におけるシステム導入では、仕様が公開されている通信規格(オープンプロトコル)に準拠すれば、異なるメーカーの製品同士でも相互接続ができるオープンシステムの世界標準化が進んでいる。これにより、ユーザー側は機能・品質・デザインなどを判断基準にしながら、各社の機器やセンサーなどを選定し、自由度や拡張性の高いシステムを構築しやすくなる。さらにIoT(Internet of Things)関連技術の普及により、あらゆる機器や設備をソフトウェアで統合的に管理することが可能になりつつある。
特にビルオートメーション市場においては、欧米を中心として省エネルギー性能を格付けする評価の義務化や省エネ規制が強化されている。こうした省エネに対応するための設備制御システムにおいて、オープンネットワークと接続するセンサーには、センサー情報の信頼性、機器の保守性や設置性の高さが求められている。
こうした背景をもとにオプテックス(大津市)が開発したオープンシステム対応製品の第1弾となる「在室検知センサ」は、照明や空調システムと連動することで、照度や温度管理による室内環境の快適化・生産性の向上や省エネルギー化を実現する。オフィスやホテルなどのファシリティ環境に設置される照明や空調システムなどとセンサーが連動し、システムを最適にコントロールして室内環境の快適化、省エネルギー化の実現をサポートしていく(図1)。
ビルオートメーションシステムでは、あらゆる場所の情報を収集するセンサーの設置数に比例し、電源の確保や配線工事に必要な時間やコストが膨大となってしまう課題があった。同製品は、配線不要・電池交換不要のオープンプロトコル無線通信規格「EnOcean」に対応している。EnOceanは、光や温度、振動などの微弱なエネルギーを集めて、電気エネルギーに変換するエネルギーハーベスティング技術を使用した無線通信の国際規格だ。
配線や電池交換が不要になることで設置や導入の簡便化を図るとともに、レイアウトの自由度も高まり、必要な場所で最適なセンシングができるようになる。また、メンテナンスフリー化も実現し、長期にわたる設備管理コストも大幅に削減することが可能だ(図2)。
オープンシステム化、IoTの普及により、オフィスやホテルなどのファシリティ機器を制御・統合・操作し、リアルタイムで施設管理をすることができる環境が整ってきた。今後オプテックスは省エネだけにとどまらず、会議室の利用状況の把握や効率運営、照明・温度・湿度などの調整による快適な環境構築による使用者の業務効率の向上、各種設備の不具合管理などのリスクマネジメントなどに向けたさまざまな用途に最適なセンサーを提供する方針だ。
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