2023年度から小規模を除く全ての公共事業で、BIM/CIM原則適用がスタートして、早2年。徐々にBIM/CIM活用が進み始めている中、いまだに測量〜調査〜設計〜施工〜維持管理の建設プロセスでデータ連携ができていないケースも多い。一般社団法人の「OCF」は、ICT施工で設計CIMと施工CIMをつなぐ標準ファイルフォーマットとして「J-LandXML」の普及を進めている。
一般社団法人OCF(旧:オープンCADフォーマット評議会)の理事を務める浅田一央氏は、「第6回 建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO 2024)」(会期:2024年5月22〜24日、幕張メッセ)の特別セミナーA会場で、建設ライフサイクルでのBIM/CIMデータ活用でデータ標準化となる「IFC」「J-LandXML」について講演。2024年4月に国土交通省が策定した「i-Construction 2.0」の詳細を解説するとともに、対応する標準データ形式のJ-LandXMLの活用方法などをレクチャーした。
2024年にアップデートしたi-Construction 2.0について浅田氏は、「政府が建設現場のDXを推進する意味合いそのものが少し変わってきた印象を受けた」とコメント。これまでのi-Constructionは、生産性向上をあくまで将来の建設現場を見据えた未来の施策としていたのに対し、2.0は人材不足やインフラ老朽化の解決に向けた喫緊性の強いメッセージが盛り込まれている。「建設業界全体の社会問題が一層深刻化してきている」と警鐘を鳴らした。
i-Construction 2.0の目標は、生産年齢人口がさらに2割減少すると言われている2040年度までに、建設現場の省人化を少なくとも3割、生産性で1.5倍の向上を掲げる。ただでさえ生産年齢人口の減少や高齢化、災害の激甚化/頻発化、インフラ老朽化、DXの本格化に伴うデータ連携時のトラブル多発など、さまざまな課題を抱える建設業界。現場を少ない人数で、安全かつ快適に働ける環境が構築できれば、こうした社会問題の解決にも役立ち、生産性を高めるのにもつながる。
そのため、国土交通省はi-Construction 2.0で、「施工のオートメーション化」「データ連携のオートメーション化」「施工管理のオートメーション化」の自動化3本柱を掲げ、実現に向けたロードマップを作成した。施工面では自動化により、1人のオペレーターが複数建機の動作を管理できるようにする。そのためには、現場と建機双方向のリアルタイムデータの活用が必要で、新たな安全ルールや施工管理要領なども欠かせない。データ連携では現場データのペーパーレス化、施工管理では現場のリモート化やオフサイト化をそれぞれ進める。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.