福永氏は、日本の建物種別の給湯総需要と、エコキュート導入率の結果をもとに、エコキュート事業には、まだ拡大する余地があると断言する。「エコキュートの主戦場は、設置場所に比較的余裕のある戸建て住宅。ただし、戸建て住宅でのエコキュートの普及率は、新築でもまだ半分程度で、ボリュームの多い既築では2割程度しかない」。こうした領域に推進していくことで、販路を拡大することは十分可能との考えだ。
空質空調社が計画する推進活動の方針はこうだ。まず得意とする戸建新築領域では、引き続きZEH住宅へのエコキュートの普及推進に努める。
ボリュームゾーンの戸建て既築領域では、太陽光と蓄電池を組み合わせたエネルギーリフォームの提案強化で、販路拡大を狙う。2019年以降、再生可能エネルギーの固定価格買取制度期間を満了した卒FITのユーザーが増加していることを念頭に、独自のソーラーチャージ機能を有した製品を提案し、再生可能エネルギーの自家消費ニーズを掘り起こしていく。
敷地条件などで現在エコキュート比率の低い集合住宅に対しても、新築を中心にエコキュートを提案し、普及拡大を図ることも視野に入れている。
同時に、エコキュートそのものの価値の訴求力も強化する。松尾氏は、エコキュートへのニーズは高いが普及率はそれに見合っていないと現状を評価し、その原因を「エコキュートの本質的な価値であるエコロジー、エコノミー、レジリエンスを伝えきれていないため」と分析。エコキュートの基本機能をベースに、本質価値もしっかりと伝え、「エコキュートがこれからの時代の要請に応える商品であることをアピールしていきたい」との意気込みを語った。
具体的には次のアプローチで価値訴求を強化していく。B2Cに対しては、SNSなどを活用したダイレクト訴求の発信を強化し、エコキュートの認知とイメージアップを図る。
B2Bは、e-STATION KUSATSUでの活動や隣接する工場見学などを通じて、市場背景やエコキュートの仕組みや本質的価値への理解を深めてもらう計画だ。
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