アイカ工業がリグニンフェノール樹脂使用のメラミン化粧板を開発、バイオマス度は60%製品動向

アイカ工業は、植物由来のフェノール樹脂(リグニンフェノール樹脂)を使用したメラミン化粧板を開発した。今後は、フェノール樹脂を利用したメラミン化粧板のサンプルワークを行いながら、量産化に向けたスケールアップを展開していく。

» 2022年02月17日 07時00分 公開
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 アイカ工業は、植物由来のフェノール樹脂(リグニンフェノール樹脂※1)を使用したメラミン化粧板の開発に成功したことを2022年1月24日に発表した。

※1 リグニンフェノール樹脂:植物を構成する3大要素として、セルロース、ヘミセルロース、リグニンがある。なかでもリグニンは、植物を構成する上で天然の接着剤として機能しており、気候変動問題の深刻化によってバイオマス原料の活用がより一層求められる中、食料・飼料にならない非可食性バイオマス原料として、注目が集まっている。リグニンを活用したフェノール樹脂が、リグニンフェノール樹脂(Lignin-Phenol Formaldehyde Resin、LPF)

石化原料を従来のメラミン化粧板より20%削減

 国内では、気候変動問題に対応すべく、「カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量実質ゼロ)」に向けた取り組みが各方面で推進されている。こういった状況を踏まえて、樹脂製品を扱うアイカ工業は、温室効果ガスの排出量を削減するために、バイオマス原料を活用した製品の開発に取り組んでいる。

 一例を挙げると、同社の主力製品であるメラミン化粧板は、家具、什(じゅう)器、パーティションの表面材として広く使用されている建築素材で、原材料の約50%を紙が占め、バイオマス(生物由来資源)を利活用する製品として、日本有機資源協会のバイオマスマーク(バイオマス度50%)を2013年3月に取得した。

 さらに、メラミン化粧板をより地球環境にやさしい製品とするべく、メラミン化粧板で使用する樹脂原料の一部に植物由来のフェノール樹脂であるリグニンフェノール樹脂を活用する技術を確立。新技術を利用したメラミン化粧板のバイオマス度は60%※2に達し、石化原料を従来のメラミン化粧板より20%削減※3した。

※2 バイオマス度が60%のメラミン化粧板:バイオマスマーク(バイオマス度60%)取得申請中

※3 石化原料を従来のメラミン化粧板より20%削減:製品のライフサイクル(原材料の採取から廃棄まで)におけるCO2の排出量計算について、バイオマス成分は廃棄時(燃焼時)のCO2排出量をゼロとして計算

リグニンの粉末(左)とリグニンを使用したメラミン化粧板 出典:アイカ工業プレスリリース

 加えて、製品廃棄時のCO2排出量も、従来のメラミン化粧板に対して20%カットしている他、リグニンフェノール樹脂に切り替え可能な全製品に展開すると1年間当たり約1300トンのCO2低減※4が見込め、これを杉の木で換算すると約9万本が1年間で吸収するCO2に相当※5する。

※4 1年間当たり約1300トンのCO2低減:現時点で判明している情報を基にアイカ工業が算定した数値

※5 を杉の木で換算すると約9万本が1年間で吸収するCO2に相当:環境省の林野庁が作成した資料「地球温暖化防止のための緑の吸収源対策」によれば、杉の木1本(杉の木は50年杉で、高さが約20〜30mメートル)当たり、1年で平均して約14キロのCO2を吸収するとされている

 今後は、2022年3月に新技術を用いたメラミン化粧板のサンプルワークを行う。また、一部のメラミン化粧板アイテムではバイオマス度70%の仕様確立も視野に入っており、100%バイオマス化したメラミン化粧板の実現も目指す。

メラニン化粧板へのリグニンの活用イメージ 出典:アイカ工業プレスリリース

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