ヒューマンタッチが運営するヒューマンタッチ総研は、国内の建設業の人材市場動向をまとめた2019年1月分のマンスリーレポートをリリースした。今回は、かつてないレベルの人手不足に陥っている建設技術者について、総務省統計局の「国勢調査」のデータから、地域による違いを調査した。
ヒューマンタッチ総研は、最新の人材市場に関する公的データをまとめた「ヒューマンタッチ総研〜Monthly Report 2019年1月」を発表した。
公共職業安定所(ハローワーク)における建築・土木・測量技術者(常用・除くパート)の有効求人倍率(2018年11月)は、現在の職業分類になった2012年3月以降で最大の6.78倍に達した。今回のトピックスでは、かつてないレベルの人手不足に陥っている建設技術者について、総務省統計局の「国勢調査」のデータをベースに、地域による違いをレポートにまとめている。
2010年から2015年までの5年間で、建設技術者は全国で3.6%増加した(図表1)。増減率を地域別に比較してみると、最も増加したのは「東北」(25.4%増)で、以下、「北陸」(7.3%増)、「南関東」(4.6%増)の順に続く。増加の大きな要因としては、東日本大震災からの復興需要、北陸新幹線、東京オリンピックなどといった工事需要の増加が考えられる。
一方、「中国」(2.8%減)、「北関東」(2.1%減)、「九州」(1.7%減)、「北海道」(1.2%減)の4地域では減少している。
次に、55歳以上の建設技術者の割合を地域別に見ると、55歳以上の割合が最も高いのは「四国」(40.4%)、次いで「九州」(38.1%)、「中国」(37.7%)となり、全国平均の35.2%を上回っている。最も割合が低いのは「東海」(32.3%)で、次点で「北陸」(33.1%)。55歳以上の割合が高い地域では、定年などで退職する建設技術者が増えるこため、人手不足に陥る危険性がさらに高まる可能性がある。
調査からは建設技術者の増減率や年齢構成は、地域により大きく異なっていることが判明した。建設技術者を雇用する企業としては、全国一律のデータのみを用いて意思決定するのではなく、各地域の置かれている実情を考慮した経営判断がこれまで以上に求められる。
雇用関連の月次データでは、2018年11月の建設業就業者数は502万人(前年同月比101.2%)で、10カ月ぶりに減少に転じた先月の10月データから再び増加に転じた。公共職業安定所(ハローワーク)における新規求人数は6万9755人(前年同月比107.6%)と、2カ月連続でプラスとなった。
建設技術職の建築・土木・測量技術者(常用・除くパート)の有効求人倍率は、前年同月比で0.40ポイント上昇して6.78倍となった。42カ月連続で前年同月を上回っており、厳しい人手不足の状況は長期化している。
新規求人倍率は、前年同月比0.46ポイント増の9.60倍。東京五輪関連の工事に加えて、道路や橋梁などの改修工事も年度末に向けて増加することが想定されるため、今後も厳しい人手不足が続くことが極めて高い。
建設技能工の建設・採掘(常用・除くパート)の有効求人倍率は、前年同月比0.83ポイント上昇の5.69倍となった。43カ月連続で前年同月を上回っており、建設技能工についても厳しい人手不足の状況が改善する見通しは立っていない。
有効求人数は前年同月比104.9%と35カ月連続で前年同月を上回り、建設技能工への需要は引き続き高水準にある。一方で、有効求職者数は、対前年同月比89.6%となり、長期的に減少傾向となっている。
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