センシング技術導入の背景にある「特車通行許可審査」は、一定の重量・寸法を超える車両を通行させる場合に、トラック事業者からの申請に基づき、道路管理者が道路構造の保全や交通の危険防止の観点から審査を行い、通行を許可する制度。
道路の情報データが電子化されていれば、自動で審査を行えるが、データが収録されていない場合は、個別に各道路管理者へ審査を依頼する必要があった。その際は、現地で人による調査の後、2次元の地図化を行い、調査表を作成しなければならず、審査の長期化を招いていた。
高速や国道、主要地方道では100%が電子データ化されているが、地方道では、自動審査システムに電子道路情報データが収録されていない路線が多い。実際に都道府県道は66%、市町村道に至っては、わずか34%にとどまる。
また、近年のトラックドライバー不足に伴い、輸送量を確保するため、トラックの大型化が進んでいる。既にヤマト運輸や西濃運輸などでは、後部トレーラー2台を連結させた「ダブル連結トラック」を運行させている。こうした運送会社の動向を受け、「特車通行許可審査」の件数は増加し、審査日数も、2013年の約26日に比べると、2017年は約51日と、倍増している。
審査期間以外の要因では、審査の対象にならない中型トラックに過積載で走行するトラックも少なくないことや審査をクリアした道路のみだと、主要道路から物流倉庫までの「ラストワンマイル」のルートが限られてしまうという課題もあった。
国交省では、今回のセンシング技術導入により、電子化が遅れている地方道などの情報を効率的に収集することで課題解決に乗り出す。平均審査日数の目標としては、2020年までに10日間程度に短縮させることを掲げている。さらに、地方道の審査を行うことで、物流網の拡大にもつなげる意図がある。
特車審査以外では、2次元の図面に落とし込まずに、取得したデータをそのまま道路インフラの点検や区画線・標識の道路地物管理、さらに運転支援の高度化や自動走行への活用も見込まれている。
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