大林組と大裕は既存の建設機械に装着することで、遠隔操作が行える装置を開発した。建設機械自体を改造することなく無人化施工を可能にし、災害復旧作業における二次災害の低減などに貢献する。
大林組と大裕は2016年10月5日、バックホーなどの建設機械を遠隔から操作し、無人状態で作業を行える遠隔操縦装置「サロゲート」を共同開発したと発表した。着脱式のシステムとなっており、建設機械自体を改造することなく使えるのが特徴だという。無人化施工を行いやすくし、災害復旧作業における二次災害の低減などに貢献する(図1)。
災害復旧などにおいては、危険な場所での作業が求められる場合も多い。そのため、二次災害のリスクが高いことから、建設機械の遠隔操縦などによる無人化施工を行いたいというニーズがある。一方、従来の遠隔操縦専用の建設機械は高額であり、台数も少ないため調達が難しいという課題があった。
こうした背景から共同開発したサロゲートは、一般的な建設機械に装着するだけで遠隔操作および無人化施工を行えるようにしたシステムだ。運転席の横にある操作レバーなどに装着して使用する。メーカーを問わず操縦方式が統一されているバックホーを適用対象としており、装着に用いる取り付け金具を変更することで、さまざまなメーカー・機種に対応できるようにした。
こうした着脱可能な遠隔操縦装置は、大型の装置が運転席を占有する場合も多い。一方、サロゲートは小型で運転席の操作レバーに装着する構造となっており、装置を装着したまま人が搭乗し操縦を行うことも可能だ。遠隔操縦、搭乗操縦の切り替えは、装置の操作レバーガイドステーのピンを着脱するだけで行える。その所要時間約3分程度だという。危険な場所では遠隔操縦を選択し、比較的安全な場所では施工効率の高い搭乗操縦を行うといった対応をしやすくした。
サロゲートは持ち運びやすいサイズのユニットに分割でき、組み立ても容易だという。建設機械への装着はボルト締めおよび配線ケーブルの接続のみとなっており、特殊な工具や技能は不要としている。動力には電気モーターおよび電動シリンダー方式を採用し、機構の簡素化・軽量化を図った。
大林組ではサロゲートを用いて迅速な対応を求められる災害復旧作業での安全を確保し、二次災害の低減を図る方針だ。
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