BIMデータと環境情報を同時に見える化、タブレットやスマホからもBIM/CAD

建築物の企画や設計段階で、事前に環境性能をシミュレーションする事例が増えている。大成建設はこうした流れを受け、同社が開発したBIMデータを確認・操作できる「T-BIMビューア」に、風や熱などの環境シミュレーションで得られた結果を可視化できる機能を追加した。

» 2016年08月10日 06時00分 公開
[陰山遼将BUILT]

 大成建設は2016年8月8日、設計情報のBIMデータを操作・確認できる「T-BIMビューア」に、環境シミュレーションで得られた風、熱、光、音の挙動や分布などの環境情報を可視化できる機能を追加したと発表した。

 近年、居住者の快適性・健康増進への配慮や省エネ意識の高まりから、建築物の計画や設計、施工時に建築空間における環境シミュレーション結果をビジュアル化し、事前に環境性能を確認、評価する例が増えている。


 これまで大成建設はPCやタブレット、スマートフォンなど、端末の性能を問わずにどこからでも設計情報にアクセスして閲覧・操作できるT-BIMビューアを客先や作業所などで活用してきた。

 今回、こうした環境シミュレーションの利活用が進んでいる現状を受け、同システムにシミュレションから得られた環境情報をVR(バーチャルリアリティ)システムで可視化できる機能を追加した(図1)。これにより設計情報に基づいて構築された建築物に加え、目に見えない風の流れや温度分布などの環境情報を同時に可視化し、空間デザインや環境性能などを把握しながら計画や設計、施工を進めることができる。

図1 「T-BIMビューア」に追加した環境シミュレーション機能のイメージ 出典:大成建設

 T-BIMビューアはクラウドを活用し、大規模数値解析による環境シミュレーション結果でも、情報端末の性能にかかわらず可視化できる。また、これまで異なる専用ソフトで計算し、別々に可視化されてきた風、熱、光、音といった個別のシミュレーションデータを一元的に可視化し、比較できるメリットもあるという。

 大成建設では今後、環境性能の確認、評価が求められる建設プロジェクトなどで、顧客や設計者、施工者間の情報共有ツールとして活用していく予定だ。

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