経済産業省がBEMSアグリゲータの幹事企業を発表してからしばらくたつ。各社が提供するサービスの内容が次第に明らかになってきた。ダイキン工業は空調機器の制御と電力使用量の見える化で、大幅節電を狙えるシステムを提供する。
経済産業省からBEMSアグリゲータとして認定を受けたダイキン工業は、BEMSアグリゲータとして提供するサービス内容について詳細を明らかにした。空調の制御で消費電力量を抑え、消費電力量の見える化で人間の節電意識向上を狙っていることが特徴だ。
同社が提供するサービスは対象となるビルの規模によって4種類に分けられる(図1)。そのうち、最も小規模なサービスである「DAIKIN D-irect」は、店舗を対象にしたもので、空調を自動制御し、前日に消費した電力量のデータをユーザーに送信するサービスを提供する。ビル全体の電力消費量を計測するサービスも提供する。
消費電力量を計測する機能と、遠隔地からの制御を受付可能にする専用アダプタを空調機器に取り付け、アダプタをインターネットに接続する。するとアダプタはダイキン工業が運営しているデータセンターと通信するようになり、消費電力量などのデータを送信するようになる。データセンター側から空調を制御することも可能だ。
電力消費量のデータなどを見るには、データセンター側のWebサーバにWebブラウザでアクセスする。Webブラウザが表示する画面では、データを見るだけでなく、空調の制御も可能だ。
DAIKIN D-irectの機器導入費用(工事費込み)は500,000円から。毎月のサービス利用料は」5,000円から。経済産業省からの補助金は、機器にかかる費用の1/3と、工事費の1/3。補助金の上限は1件当たり1,700,000円。
より大きな規模のビルに向けては、「エアネット i シリーズ」を用意している。このシステムはビル向けの大規模エアコン(マルチエアコン)を導入しているビルを対象としている。
エアネット i シリーズは、ビルの規模、消費電力量に応じて、3種類に分けられる。小規模なビルに適しているのがエアネット i シリーズの「エントリーモデル」。提供するサービスとしては、ビル全体の電力消費量の計測、前日に消費した電力量データの提供、空調機器の制御だ。DAIKIN D-irectと同様、消費電力量などのデータはデータセンターに蓄積する。ユーザーがデータを見るときや、空調を操作するときにデータセンターのWebサーバにアクセスするというところもDAIKIN D-irectと同じだ。これは、後に説明する「スタンダードモデル」や「D-BIPS」モデルも同じだ。
機器導入費用(工事費込み)は2,500,000円から。毎月のサービス利用料は」12,000円から。経済産業省からの補助金は、機器にかかる費用の1/3と、工事費の1/3。補助金の上限は1件当たり1,700,000円。
エントリーモデルに、電力消費量データをリアルタイムで提供するサービスを追加したものが「スタンダードモデル」。データの提供形態を1日1回から、リアルタイムに変更することで補助金の受給率が変わる。
機器導入費用(工事費込み)は4,000,000円から。毎月のサービス利用料は」16,000円から。機器にかかる費用の1/2と、工事費の1/3の補助が受けられる。補助金の上限は1件当たり2,500,000円。
同社の大型ビルマネジメントシステム「D-BIPS」の機能を取り込んだのが「D-BIPS」モデルだ。空調を制御するだけでなく、照明を制御することでより積極的に消費電力節減を狙う。見える化の機能では、空調機器単位だけでなく、部屋単位、フロア単位といった細かい単位でデータを見ることができるようになる。さらに、テナントビルに向けて、テナントごとの電力使用料を集計する機能もオプションで用意する。
機器導入費用(工事費込み)は6,000,000円から。毎月のサービス利用料は」20,000円から。機器にかかる費用の1/2と、工事費の1/3の補助が受けられる。補助金の上限は1件当たり2,500,000円。ただし、ユーザーがリアルタイムのデータ提供オプションを利用しない場合、補助金の受給率が変わり、機器にかかる費用の1/3となる。合わせて、補助金の上限も1件当たり1,700,000円となる。
同社はまた、DAIKIN D-irectとエアネット i シリーズすべてに共通するサービスとして、節電コンサルティングサービスを提供する。空調機器の利用状況を分析し、効果的な消費電力量節減策を提案する。
昨年の夏、同社の「エアネット i D-BIPSモデル」に相当するエネルギー管理システムを導入したビルでは、空調の消費電力量を20%以上削減できたという。さらに、BEMSアグリゲータ事業の対象となるビル(契約電力が50〜500kW)では、ダイキンの空調機器が40%ほどのシェアを占めている。安定した顧客に確かな実績をアピールして、システムを売り込んでいく構えだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.