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» 2020年02月28日 10時00分 公開

最高ランクの『ZEB』実現!!三菱電機とタッグを組んだ三晃空調の妙計とは?都市部での『ZEB』化成功の裏側を探る

環境配慮に対する機運がグローバル規模で盛り上がる中、ZEB(net Zero Energy Building)認証を取得する建築物が国内でも増加傾向にある。2019年10月に竣工した三晃空調の研修用施設兼ショールーム「ワッツ・ラボ オオサカSANKO研修センター」もその1つだ。年間の1次エネルギー消費量を、正味でゼロ以下にする環境に優しい建物を実現し、最高ランクの『ZEB』を取得した。しかし、三晃空調は当初、ZEBの知識やノウハウを豊富に持っていなかった。そうした状況下でのZEB認証取得で大きな役割を果たしたのが、総合電機メーカーとして他社に先駆けて「ZEBプランナー」に登録し、これまでに多数のZEB化に携わった実績を持つ三菱電機だ。ワッツ・ラボ オオサカSANKO研修センターで、なぜ『ZEB』が実現できたのか取材した。

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 大阪でも有数のビジネス街でありながら、百貨店や飲食店も立ち並ぶ一大繁華街としての顔も持つ大阪市・北区――。2019年10月、この地にZEB(net Zero Energy Building)認証制度で最高ランクの『ZEB』の認証を受けた建物が竣工した。空調衛生設備会社の三晃空調を施主とする「ワッツ・ラボ オオサカSANKO研修センター」がそれだ。

 ZEBとは、快適な室内環境を保ちながら、建物の高断熱化や設備の高効率化などの「省エネ」と、再生可能エネルギーなどの「創エネ」を組み合わせることで、年間の1次エネルギー消費量をプラスマイナスゼロ(もしくは創エネ量>消費量)とする建築物を指し、エネルギー削減の達成度に応じて、下図のように定義されている。

ZEBの定義 出典:2018年度ZEBロードマップフォローアップ委員会とりまとめ

 ワッツ・ラボ オオサカSANKO研修センターは、鉄骨造地上2階建て、延べ床面積287.84平方メートルの研修用施設兼ショールーム。設計時点において、基準1次消費エネルギーから108%を削減(創エネ含む)し、最も実現が困難とされる最高ランクの『ZEB』を達成した。この『ZEB』化の狙いについて、「当社のブランドと建物の価値を向上させるのが目的」と話すのは、同センターの建築プロジェクトで、工事計画を担当した三晃空調 大阪本店 企画設計部 部長代行 森下隆一郎氏。

「ワッツ・ラボ オオサカSANKO研修センター」2階の継手/バルブ/補助部材などの施工実例を紹介しているコーナー(左)、配管やダクトの実物展示(右)

 「ESG(Environment:環境/Social:社会/Governance:企業統治)やSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)への世界的な盛り上がりを背景に、建築物の省エネルギー化に対するニーズは確実に高まり続けています。今後、そうした求めに、空調衛生設備会社として柔軟に応えていくためには、地道な研修を通じた技術力の底上げが不可欠。そこで、当社が本社を構えるこの地に新しい研修施設を設け、併せてZEB認証も取得することで、技術力、さらに省エネルギー化に対する先進性を効果的に訴えようと考えたのです」(森下氏)。

豊富な導入実績による高いサポート力が選定の決め手

三晃空調 大阪本店 企画設計部 部長代行 森下隆一郎氏

 しかし、「ワッツ・ラボ オオサカSANKO研修センターの竣工までの道のりは、紆余曲折がありました」と森下氏は打ち明ける。実は、既設の資材倉庫を、その機能を残しながら新たに研修センターとして作り変えるプロジェクトを2017年に一度スタートさせたが、折からの人手不足によって、基本設計の段階で頓挫してしまった。だが、それがZEB化に舵を切るきっかけでもあった。

 「知識不足もあり、当初計画ではZEB認証の取得は一切考えていませんでした。再始動にあたり、以前のプロジェクトを単に引き継いだだけでは、工期が予定より大幅にずれ込んだだけで終わってしまう。そこで、この間に注目度が急上昇していたZEBに着目しました。ZEB化によって建物の価値を向上させたいと考えたのです」(森下氏)。

 とはいえ、この段階では三晃空調社内をはじめ、森下氏自身のZEBへの理解もそう深くはなく、具体的なZEB化の道筋は不明瞭なままだった。また、建物をZEB化するには、高効率な設備の採用が必要となるため、コスト増の問題も浮上した。

 こうした中、転機は2018年10月に訪れる。同年9月に、インテックス大阪で開催された「第4回[関西]スマートビルディング EXPO」にて、ZEBプランナー※1として出展していた三菱電機のブースを視察。これを機に具体的な話し合いの場を持つことになった。そこで最も印象に残ったのは、「豊富な実績に裏打ちされた総合的な支援力の高さ」だと森下氏。

※1 ZEBプランナー:ZEBの普及に向けて、環境共創イニシアチブが公募する登録制度

 「ZEB化のメリットは十分理解していたものの、通常建築よりも手間がかり、建築費が上がることなどを懸念していました。対して、三菱電機はZEB化に必要な高効率設備を自社で取り揃(そろ)えており、いくつものZEB施工例を経験している。豊富な経験に基づき、様々なアドバイスがもらえると考えました。また、コスト増を補填(ほてん)してくれるZEB補助金にも大変詳しく、極めて有益な情報提供をいただけた。技術力、ノウハウともに申し分ない。ZEB知識の浅い当社でも、三菱電機に協力を仰ぐことでZEB化に漕ぎ着けられると思いました」(森下氏)。

 森下氏は早速、社内の了承を取り付け、基本設計に基づくZEBプランニングを三菱電機に依頼。ワッツ・ラボ オオサカSANKO研修センターの建設プロジェクトが本格的に再始動するに至った。

電力最適化に向け小型・高効率な設備を一括提供

三菱電機 稲沢製作所(本社駐在) ビルシステムエンジニアリングセンター システムインテグレーション部 ソリューション技術課 担当課長 椋本俊学氏

 ZEBの難度を勘案し、当初、三晃空調が取得を目指していたのはZEB Ready(省エネのみで基準1次消費エネルギー比50%以上減)。だが、基本設計情報に基づいて試算を行った三菱電機から、「『ZEB』も十分に見込める」との回答を得て、目標を『ZEB』に切り替えた。

 これを受け、三菱電機は実施設計に向けた空調、換気、照明、給湯設備などの選定に着手。基本方針は、小規模建物の特性を生かし、小型かつ高効率な設備選定による電力消費の最適化に定めた。

 三菱電機 稲沢製作所(本社駐在) ビルシステムエンジニアリングセンター システムインテグレーション部 ソリューション技術課 担当課長 椋本俊学氏は、「ワッツ・ラボ オオサカSANKO研修センターは、延べ床面積が500平方メートル未満と最適化がしやすい規模。そのメリットを最大限に生かすため、省エネ効果の高い空調をメインに、基本方針に合致する三菱電機の最新製品と、BEMS(Building Energy Management System)を一括提案することで、電力の最適化と高度化に努めました」と説明する。

ビル設備の最適制御を可能にする統合管理システム「BuilUnity」のコントローラー
電力使用量のモニタリングや各種設備を制御する「BEMS」の操作

 両社が2019年1月から3月末までの期間で詳細を詰め、最終的に導入が決定した設備は以下となる。まず、空調にはセンサー付き高効率インバーターエアコンが、換気には全熱交換器がそれぞれ採用され、併せて、空調負荷のさらなる低減に向けたナイトパージシステムも取り入れられた。その他、高効率LEDと人感検知やタイムスケジュール制御などを取り入れた照明システムや、高効率ヒートポンプ給湯機、設備全体のエネルギーの見える化、一元管理などを行うBEMSも採用された。

センサー付高効率インバーターエアコン(左)、空調用リモコン(右)
LED照明(左)、照明用の調光リモコン(右)
全熱交換器

補助金申請の膨大な資料作成も独自ノウハウをもって手厚く支援

 こうした計画と並行して、三晃空調は環境省の「2019年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(業務用施設等におけるネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)化・省CO2促進事業)」の補助金申請に向けた準備を三菱電機と二人三脚で進めていった。同制度を利用すれば、対象設備の経費のうち、3分の2の支援が受けられる。「ZEB取得を社内でプレゼンする立場として、会社の費用負担をできる限り抑えるため、補助金は不可欠と考えていました」と、森下氏は補助金制度を利用した意義を語る。

三晃空調 総務統括室 総務人事グループ 係長 長谷川陽一氏

 実のところ、補助金申請業務は片手間で行えるものではないという。一連の申請業務を担当した三晃空調 総務統括室 総務人事グループ 係長 長谷川陽一氏は、「補助金の利用にあたっては、その性格上、該当設備の網羅的な把握が欠かせません。それを踏まえ、建設の進捗に合わせて必要書類を提出しなければなりませんが、私自身、ZEBについては素人で、何をどう進めるべきか戸惑うことばかりでした」と当時を述懐する。

 こうした状況にあって、三菱電機はそのノウハウを生かし長谷川氏を手厚くサポート。

 長谷川氏は、「申請には膨大な書類が必要でしたが、プランナーである三菱電機の支援のもと書類をまとめていくことで、遅滞なく補助金申請を完了させることができました。結果、無事に申請が認められ、コスト抑制を実現できたことを嬉しく思っています」と頬を緩ませる。

 今後、国内での立て替え需要が見込まれる中小規模ビルのオーナーにとっては、限られた資金でZEB化を行うために、補助金の活用は必須となるだろう。

“広告塔”として企業ブランドの向上に寄与

BELSの5スター(☆☆☆☆☆)評価書

 完成したワッツ・ラボ オオサカSANKO研修センターは、極めて優れた省エネ化を達成している。

 1次エネルギー削減率は省エネで67%、創エネで41%の合計108%。BEI※2ではマイナス0.08となり、BEI指標で省エネ性能のランクに応じて、☆数が決まるBELSで最高評価の5スター(☆☆☆☆☆)を取得している。

※2 BEI(Building Energy Index):省エネ性能の評価指標。設計1次エネルギー消費量を地域や建物用途、室使用条件などにより定められた基準1次エネルギー消費量で割った値

ワッツ・ラボ オオサカSANKO研修センターの省エネルギー性能 出典:環境共創イニシアチブ

 実際に施設が本格稼働するのは、三晃空調が新年度の新入社員を迎える2020年4月からだという。従って、省エネ+創エネで100%以上エネルギーを削減した『ZEB』効果が顕在化するのはそれ以降となる。

 森下氏がZEB化にあたって掲げた「当社のブランドと建物の価値を向上」という面での効果は既に表れている。三晃空調が施設竣工をニュースリリースなどで広報したところ、ZEBに関心のある大学やゼネコンなどからの問い合わせが殺到している。

 「見学依頼数は、当初の想定以上です。これも、省エネルギー化への関心が広がっている証でしょう。三晃空調の省エネ、ZEBへの積極的な取り組みや考え方を知ってもらう場として、ブランド価値アップに寄与しています」(森下氏)。

 ワッツ・ラボ オオサカSANKO研修センターでは、設備工事で用いる配管を使ったアート作品やBEMSで収集したデータを確認できる大型ディスプレイを外からも目にとまりやすい位置に配置。一般の方にも、省エネに対する姿勢や実績を知ってもらうためだ。

「ワッツ・ラボ オオサカSANKO研修センター」のシンボルとなっている環境問題に対する配管技術の役割を表現した配管アート

ZEBの普及拡大に向けて

 今回の『ZEB』プロジェクトを通じ、三晃空調では社員のZEBへの意識も着実に高まっており、今後は空調衛生設備会社として設備改修に伴う「改修ZEB」の提案に力を入れるとしている。そのため森下氏は、三菱電機とのより強固な連携の構築に期待を寄せている。

 実際に三菱電機は、ゼロエネルギー化の先も視野に入れながら、実案件を通じた知見・ノウハウの蓄積とソリューション開発を進めている。

 その最先端基地となるのが、神奈川県鎌倉市に現在建設中の「ZEB関連技術実証棟」。2019年に設計段階で、第三者機関からBELSの最高評価である5スターに加え、『ZEB』も取得。延べ床面積6000平方メートル以上の新築オフィスビルでは、日本初の快挙となった。また、2020年1月31日には、利用者の健康性、快適性の維持・増進をもたらす建物を評価する「CASBEE ウェルネスオフィス」でも、最高評価のSランクの認定を受けたことを公表している。

 黎明期から普及拡大期に入りつつあるZEB市場では、今後、既存建物の「改修ZEB」の増加が見込まれている。「改修ZEB」の中核となる空調に強い三晃空調と、ZEBのその先をも見据え、取り組み強化を続ける三菱電機とのタッグは、ZEB化を目指すビルオーナーにとって、間違いなく信頼できる導き手となることだろう。

正面玄関にて、BEMSデータなどを表示するディスプレイを前に。左から三晃空調 長谷川陽一氏と森下隆一郎氏、三菱電機 椋本俊学氏

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提供:三菱電機株式会社
アイティメディア営業企画/制作:BUILT 編集部/掲載内容有効期限:2020年3月27日

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三菱電機は2019年8月、国内で初めて6000平方メートル以上の中規模オフィスビル単体で、BELSの5スターとZEBを設計段階で取得した。技術説明会なども開催しZEBの普及啓発に注力している。

近年、環境に配慮する企業の増大に伴い、ZEB(net Zero Energy Building)認証を取得するオフィスビルが増えている。国内のZEB認証取得済みのオフィスビルは、郊外に建築物を建て広い敷地を最大限に利用し、多くの太陽パネルを設置したり、エネルギー使用量を多大に要する設備を配置しないというものが多いのが現状だという。これに対し、三菱電機の「ZEB関連技術実証棟」は、食堂なども設けた4階建て中規模オフィスながら、建物単体で『ZEB』を実現すべく設計されている。