MetaMoJiは施工管理支援アプリ「eYACHO」の機能を拡充し、2024年問題に即効性のある解決ツールとなる新eYACHOにアップデートした。施工管理帳票間の高度な連携により、業務のムダを省き、生産性を向上させる一方で安全管理業務も高度化する。
eYACHOは、図面や資料のペーパーレス化、リアルタイム共有機能、日報や検査帳票などを事務所に戻らずに現場で作成できるようにし、施工管理業務の生産性を向上させるツールとして多くの現場で導入され、ゼネコンでの利用者数シェアNo.1※の施工管理支援アプリだ。2024年7月から提供を開始した新eYACHOでは、多くの地方ゼネコンや地場ゼネコンでいまだ対策が十分とはいえない「建設業の2024年問題(時間外労働の上限規制)」に対して、すぐに効果が現れる機能が追加された。
※「建設業の施工管理支援アプリの利用動向調査(2024年4月)」MM総研
eYACHOは、MetaMoJiが大林組と共同開発して2015年に世に送り出した。それまで手書きだった紙のノート(=野帳)をデジタル化し、建設現場の施工管理を飛躍的に効率化してきた。
新eYACHOを開発するにあたっては「生産性の向上と安全の確保」をテーマとして掲げた。2024年問題を解決するため、従来の機能に加えて、移動で発生する時間のロスや、文書作成時に発生する転記、手作業による集計などのムダやミスを減らすための機能を追加した。効率を高める一方で、建設業で最も重視される安全についてもAIによりリスクアセスメントを支援する機能を強化し、初めて経験する工種や経験の浅い施工管理者でも、過去の事例や法令に基づいて安全管理業務を行えるようにした。
eYACHOの帳票は一見すると、ワープロや表計算ライクなエディタやビュワーのように見えるが、帳票上のデータを演算する機能を内包しており、帳票上でデータ処理をプログラミングできる。つまり、帳票間でデータを転記したり、複数の帳票からデータを集めて集計したりすることが自在に行える。eYACHOが他社の施工管理アプリと大きく異なるのが、この「帳票上でのデータベース処理」だ。
MetaMoJiは以前から、施工管理の工事書類の作成が建設業界の長時間労働の原因と認識していた。法人事業部 法人第一営業部 部長 今西信幸氏は「工事関係の書類は種類が多い上に管理方法が現場ごとにまちまちで、異なる書類に同じデータを記載することも珍しくない。こうした書類の作成や管理の非効率を解決すべく、eYACHOの機能を拡張したのがスマートテンプレートだ」と説明する。
スマートテンプレートは、前述の「帳票上のデータベース処理」の機能を盛り込んだテンプレートだ。「施工管理業務から工程、原価、品質、安全の各施工管理業務の主要な帳票に自動処理を組み込んでスマート業務パッケージとして標準搭載したことで、eYACHOをすぐに使いこなすことができる」(今西氏)。
ソリューション技術部 部長 杉森眞二氏は「施工現場では施工計画書に沿って複数の工事が同時進行し、それぞれの進捗(しんちょく)を管理しなければならない。進捗管理は日時、週次、月次ごとに工程表が必要で、それに加えて日々の安全衛生作業に関する指示書や報告書も求められる。スマートテンプレートにより、こうした多種類のデータの帳票間での転記や集約なども効率化されるため、業務効率の大幅な改善が見込める」と話す。
また、多種類の帳票を業務の流れに応じて使いこなし、再利用を促すことも、生産性向上のための重要なテーマであり、これに対応したのが「業務メニュー」だ。建設業各社では、施工管理データや帳票をどのように使うのか、「業務フロー」や「業務手順」として規定されている。手順書類をeYACHOに組み込むことにより、フロー上で帳票をタップするだけで、該当する手順で必要な帳票が起動される。
これまでは階層フォルダから探し出す手間や、間違った帳票を選択してしまうことから起きる非効率もあったが、業務メニューでこうした問題が解決できる。
施工現場での生産性阻害要因の一つに、現場と事務所間での移動の問題がある。それを解決するのが「GEMBA Talk(ゲンバ トーク)」だ。
GEMBA Talkの企画を手掛けたコトバ研究開発部 部長 土田正明氏は「建設現場では、現場と事務所間の繰り返しの移動、作業者と現場管理者間で確認や調整にかなりの時間を費やしている。このような時間のムダを減らすだけでなく、映像での確認も行えるので精度の高い確認ができ、その場で対策を打てるようになる」と利点を強調する。
施工現場ではeYACHOだけでなくチャットツールや携帯電話、ウェアラブルカメラが配備されICT化が進んでいるが、GEMBA Talkのようにひとつのツールで図面や画像、データなどの統合が進めば、さらに生産性が上がるだけでなく、安全な現場作業にもつながるだろう。
安全衛生の高度化としては、工事の労働災害リスクをAIが予測する新機能「安全AIソリューション」を用意している。
安全AIソリューション開発責任者のコトバ研究開発部 山上勝義氏は、「AIによる災害リスクの予測エンジンは、過去の災害事例と安全関連法令の双方に対応している。実例による具体的なリスク把握や法令の裏付けがある防止策を講じることも可能になる。操作に特別なITスキルや知識は必要ない。リスクや対策情報は、施工作業を選択あるいは自由入力するだけでリスクの予測結果が提示され、直接、新eYACHOのKY活動表や作業指示書などの帳票に反映できる」と語る。
さらに山上氏は、「これまでの安全リスクアセスメントでは、KY活動が形骸化していたり、作業手順作成がベテランの経験や勘に依存したりと、精度を高めることが困難だった。安全AIソリューションではAIが予測し、提示してくれるので、作業者に気付きを与え、安全管理の底上げにつなげられる」と補足する。
建設DXと呼ばれるICTツールは多く提案されているが、新eYACHOでは、現場の作業者、管理者が直面しているムダな作業や手順、安全に対する不安などを広く取り除くための具体的な新機能が「使える」「結果を出せる」ツールとして役立てられるだろう。
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提供:株式会社MetaMoJi
アイティメディア営業企画/制作:BUILT 編集部/掲載内容有効期限:2024年9月26日