NTT西日本の経験が導く、高精度なドローン点検とインフラメンテのDXドローンジャーナリストが探るドローン最前線

地域社会のスマート化を目指すNTT西日本の「Smart10x」。10の分野のうち、インフラメンテナンスにおけるドローン×AIの先端活用例について、ドローンジャーナリストの青山祐介氏が探った。

» 2023年02月28日 10時00分 公開
[PR/BUILT]
PR

 10の重点分野を通じて地域社会のスマート化を目指す西日本電信電話(NTT西日本)のICTソリューション「Smart10x」。10の重点分野をターゲットに定め、産業や社会のDXを推進し、社会課題の解決を図るとともに、新しい価値共創に取り組んでいる。10のうち、スマートインフラ・エネルギーの分野では、ドローン導入を起点とした点検作業のDX実現を目標としている。

 本稿では、インフラ設備の点検などでドローンを飛ばすオペレーションに携わり、数々のメディアにも寄稿するドローンジャーナリストの青山祐介氏と、NTT西日本でSmart10x事業を担う中島盛治氏、NTTビジネスソリューションズでスマートインフラ・エネルギー事業を進める速水洋介氏の3者による対談をお送りする。2022年12月に解禁となった人口密集地区の目視外飛行(レベル4)で、社会実装が目前に迫ったドローン、さらにAIを活用したインフラ点検のDXについて、NTT西日本グループの導入事例などを交え、その可能性を論じた。

「点検作業のシェア」で社会全体のコスト減

ドローンジャーナリスト 青山祐介氏 ドローンの産業利用を中心に取材し、書籍、雑誌、Web媒体に寄稿。橋梁やプラント、インフラ設備の点検、物流でドローンを飛ばすオペレーションにも携わる ドローンジャーナリスト 青山祐介氏  ドローンの産業利用を中心に取材し、書籍、雑誌、Web媒体に寄稿。橋梁やプラント、インフラ設備の点検、物流でドローンを飛ばすオペレーションにも携わる

青山氏 1950年代半ばから1970年代前半までの高度経済成長期、道路や橋梁(きょうりょう)などの交通、インフラ施設、ビルが整備されました。しかし約50年経過した現在、それらが一斉に老朽化しており、大規模なメンテナンスが必要なタイミングを迎えています。結果、点検に必要な膨大なコストと労働力をどのようにねん出するのかという課題に直面しています。そこで注目されているのがドローンの活用です。

中島氏 2019年より、NTT西日本の通信管が通る橋梁もドローンで点検を行っています。ドローンで撮影すると、隣にある水道管、ガス管も映ります。他のインフラ事業者様と共同保全できれば、社会全体でのコスト減になるのではと考えました。

青山氏 確かに従来の橋梁の点検では、船や足場を使う目視確認や、橋梁点検車両を用い交通誘導員を配置して交通規制をかけるなど大規模な業務が必要でした。ドローン利用により、時間もコストも大幅に軽減されることが期待されます。2014年に告示された道路法施行規則の一部を改正する省令で、ほぼ全ての橋梁は5年に1回の点検が義務付けられました。現在、国内には約73万橋あり、これまでのような目視点検では間に合わないという状況です。

速水氏 国土交通省の調査データによると、建設から約50年以上経過する道路橋は、2023年3月に約39%、2033年3月には約63%に達します。劣化した橋梁やトンネルが崩落するということも十分ありえる状況です。私たちはインフラ点検を1つの使命と捉え、インフラメンテナンスにおけるドローン・AIの活用を始めました。顧客のニーズに応じてコンサルや企画を行い、ドローンによる点検、AIによるデータ分析診断やレポートなどを提供しています。送電線鉄塔、通信鉄塔、橋梁、太陽光・風力発電設備などさまざまな構造物の点検に対応しており、ドローンを活用することで、安価かつ安全な点検業務が実現します。

青山氏 施主にとっては、作業員が危険な高所点検をする必要がなくなるので安心でしょう。プラントでは生産を止めて点検が行われていましたが、時間短縮により不稼働損を減らすことができます。従来の点検手法がドローンに置き換われば、点検業務の省力化と安全性の向上、作業コスト減の3つが叶(かな)います。インフラ事業者や自治体では技術者の高齢化、労働人口減少、作業員の安全確保、技術の継承も課題となっていますが、それらも一気に解決できるのですね。

ドローンによる広範囲の撮影で異常箇所の見逃しを防ぐ

青山氏 海外では石油の掘削装置やパイプラインなど大規模な設備を中心にドローン点検が進んでいます。一方、国内では実験的な取り組みが中心で、本格的な社会実装にはあと少しかかります。目視点検のほうが早いとおっしゃる作業員の方もいらっしゃいますが、見落としの可能性もあるので、今後は精度の高いドローン点検のニーズが高まると思われます。

NTT西日本 バリューデザイン部 スマート10x事業統括部 中島盛治氏 NTT西日本 バリューデザイン部 スマート10x事業統括部 中島盛治氏

中島氏 2022年に地方自治体の水道局と共同で、市内4つの橋梁に敷設された水道管路、通信管路の点検を実施しました。NTT西日本グループではこれまでにもドローンを利用した通信管路の設備点検を実施しておりましたので、並走する水道管路点検も同時に行えれば一石二鳥です。

 従来は、船舶の上からの確認や、特殊車両を用いた点検を行っておりましたが、ドローンを活用することで、管路に近づいた高画素のカメラで撮影し、より的確な診断が可能になります。さらに、作業コストが安価で、手軽に点検できるようになりました。

青山氏 「単に目視確認の代替だけではない」ことに、先進性と安心感を覚えます。橋梁の裏側まで鮮明に記録できることと、確かな証拠として記録できる点が他のドローンサービスには無い強みですね。

経験と蓄積データによる先進のAI解析

青山氏 経年劣化の確認について、これまでは目視で帳面に書いて分析するというステップを踏んでいました。ドローンで取得したデータをAI活用するにあたり、最重要なのはAIに学習させて分析のもととなる教師データですが、NTT西日本グループはどうされていますか。

NTTビジネスソリューションズ スマートインフラ・エネルギー事業部 速水洋介氏 NTTビジネスソリューションズ スマートインフラ・エネルギー事業部 速水洋介氏

速水氏 通信管路の点検時に蓄積したデータを教師データとして設定しています。また、自治体や企業が所有する各種インフラ設備の点検を共同で実施させていただき、AI分析のトライアルを行っています。今後は、劣化箇所の経時的な違いを重ね合わせ、AIに判定させることも見込めます。

中島氏 設備劣化には雨、風などのさまざまなパラメーターが影響しています。将来は、取得データと環境パラメーターを掛け合わせることで、数年後の劣化度も予想できるようになるでしょう。ビッグデータを社会インフラの維持管理に活用できるように現在、懸命に取り組んでいます。2022年12月、航空法の改正により、有人地帯で監視要員なしのドローン飛行(レベル4)が認められたため、安全を担保したうえで遠隔地での点検も可能になりました。

青山氏 ドローンで点検できる箇所が一気に増えますね。遠隔地で撮影した映像データを有資格診断者が居る場所に送り、すぐにモニターをチェックし、判断してもらうことも可能となります。そのためにNTT西日本の回線を使えば、大容量の映像データの転送も簡単にできるでしょう。

中島氏 今までもインフラに関わるアセットやノウハウを活用し、地域の課題を解決してきましたが、メガソーラーの点検など、さまざまな分野でニーズがあります。ドローンによるインフラメンテナンスを通じて、安心、安全で永続的な地域社会の発展に貢献したいと考えています。

NTT西日本の「インフラメンテナンスにおけるドローン・AIの活用」

 インフラ設備点検のコンサルや企画、ドローンによる空撮、AIを活用し、顧客に最適化した診断を実施。対象は橋梁本体、橋梁に取り付けられたインフラ管路(通信、電力、水道など)。

インフラメンテナンスにおけるドローン・AIの活用

※)本記事はNTT西日本から提供されたコンテンツをBUILT編集部で一部編集し転載したものです。NTT西日本およびNTT西日本グループにより、ドローン導入を起点とした点検作業のDXに貢献した事例です。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:西日本電信電話株式会社
アイティメディア営業企画/制作:BUILT 編集部/掲載内容有効期限:2023年3月11日