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» 2021年05月28日 10時00分 公開

“原則BIM/CIM化”の最新動向など、建築・土木ですぐに役立つ多彩な講演を開催「オートデスクの日」レポートDX実現に寄与するAutodesk製品群

オートデスクと大塚商会は、2021年5月13日に「オートデスクの日(Otsuka & AUTODESK Collaboration DAY “2021”)」を開催。建築業界及び土木業界でのDX実現に寄与するAutodesk製品群の紹介や現場第一線でのユーザー導入事例など、多数のセミナーをオンラインで公開した。本稿では、会期中に繰り広げられたセッションのうち、オートデスクの提言「建築土木分野での変革」と、最新のBIM/CIMの法令動向を分析した土木向けテクニカルセッション「Autodesk AEC Collectionで原則BIM/CIM化へ備えよう!〜令和3年度のガイドライン、要領・基準類から読み解く対応のポイント」の2本を紹介する。

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「オートデスクの日(Otsuka & AUTODESK Collaboration DAY “2021”)」

BIMによる構造設計の効率化、作業時間が3分の1に

 「オートデスクの日(Otsuka & AUTODESK Collaboration DAY “2021”)」のセッションのうち、「建築土木分野での変革」と題する講演では、オートデスク Revit MEP Design プロダクトオーナー 菱田哲也氏が登壇し、「建設業界を取り巻くキーワード」「コロナによる業界への影響」「オートデスクと進める建築土木分野での変革」の3テーマに沿って展開した。 

 まず、「建設業界を取り巻くキーワード」では、2021年の建設業界に影響を与えると予測される下記4つのキーワードを提示した。

  • One BIM Model(設計情報の集約)
  • Revit User Group/Civil User Group(日本仕様化)
  • Automation/Insights(自動化・洞察)
  • Cloud Collaboration(連携)

オートデスク Revit MEP Design プロダクトオーナー 菱田哲也氏(一級建築士)

 「One BIM Model(設計情報の集約)」では、BIMによって意匠・構造・設備のデータが一つのBIMモデルに集約されることの利点が示された。構造設計の連携には、Revitのアドオン「ST-Bridge」の差分変換を用いることで、手戻りの解消をはじめ、ワークフローが劇的に改善する。

 意匠から構造までに関する現状のワークフローでは、3Dの解析モデルを作成して、これをベースに手作業で2Dの伏図・軸組図・リストなどを個別に図面を作成する無駄が生じている。しかし、Revitであれば、3Dの解析モデルから整合性が担保されたBIMモデルを自動生成し、2次元の伏図・軸組図・リストを出力できる。手作業を経ずに図面化ができるため、人の作業に起因するミスが発生せずに、作業時間でも効率化が図れる。

2D CADの構造設計ワークフロー。3D解析モデルから手作業で2D図面を作成しなくてはならない
Revitによる構造設計ワークフロー。3D解析モデルから自動で2D図面が作成される

ユーザーに最新情報と運用ノウハウを提供する「RUG」と「CUG」

 一方で、設備に関しては、オートデスクが公開している日本用のMEP専用Webサイト「BIM MEP HUB」を紹介。

 同サイトでは、散逸しがちなサンプルモデルやRevit User Group(RUG)で業界標準化を進めているコンテンツ(ファミリ、テンプレート、共有パラメーターなど)、各種トレーニング、解説資料などが日本語で検索できる他、これまでに開催したセミナーや事例集などもオープンになっている。

日本向けMEP専用サイト「MEP HUB」

 BIM MEP HUBの説明では、RUGの活動を紹介した。RUGでは、意匠・構造・設備の各分野をまたぎ、多くのユーザーや企業が参加して活動を行っている。例えば、「分野連携WG(ワーキンググループ)」は、意匠・構造・設備のWGに分かれ、それぞれがどのように情報連携するかを日々議論している。このような活動を通じてRevitの利用法が共有され、ワークフローの連携も常に進化している。

 RUGでは、設備機器のメーカーに対して共有パラメーターを提示することにも取り組んでいる。RUGの共有パラメーターに準拠すると、異なるメーカーの製品ファミリを同一のプロジェクトに配置しても適切にパラメーターを集計し、自動で機器表を作成できる。菱田氏は「これは他のCADソフトだとなかなか実現できない点」として、Revitの優位性とRUGの活動の意義を強調した。

 このような標準化のトレンドは、業種の壁を越えてメーカーサイドにも広がっており、菱田氏は、フカガワ、共同カイテック、TOYOXといったメーカーが、RUGと協議しながら共有パラメーターに沿った各設備機器のファミリを提供しているとした。

2021年度から発注される大規模構造物はBIM/CIM原則適用

 土木分野のいわゆる「2023年度までの小規模を除く全ての公共工事でのBIM/CIM原則適用」への対応としては、土木設計ソフトウェア「Civil 3D」の機能を解説。Civil 3Dには、多くのアドオンが用意されており、そのうちの1つを使うと、設計データと実際の施工結果の差を帳票として出力できる。

 i-Constructionの代表とも言えるICT土工(出来形管理)での設計から施工への連携は、3Dレーザースキャナーで取得した点群データを使う。講演では、3Dスキャンソフトウェア「ReCap」を介して点群データをCivil 3Dに読み込み、誤差を比較して帳票に出力する様子が動画で示された。

 この他、「Automation/Insights(自動化・洞察)」については、計画の初期段階で多様な基本計画案を自動で生成するジェネレーティブデザイン「SpaceMaker」、宅地の造成時に盛土・切土のバランスをみながら、指定した勾配範囲で整地を行うツール「Grading Optimization」など披露した。

 また、「Cloud Collaboration(連携)」では、デスクトップソフトとして提供しているAEC Collectionに加え、クラウドソリューションも提供していることをPR。ちなみに、RevitやCivil 3D、AutoCADなどを利用している設計チームが共同作業を可能にする「BIM 360 Design」は、現在のコロナ禍でオートデスクとしてどんな社会貢献ができるのかを考慮し、2020年度には無償で提供されたという。

「いつでも、どこでも、誰とでも」コロナ禍で加速するクラウド活用

 新型コロナウイルス感染症の世界的なまん延は、クラウドの活用にも多大な影響を与えた。「コロナによる業界への影響」のセンテンスでは、調査データを交えながら解説した。

 データからは、国を挙げたDXに対する姿勢が日本は諸外国に比べて、長期的なアプローチをとってきたことが分かる。菱田氏は、「長期の投資計画があり、DXを利用して新しいビジネスモデルと製品、サービスを通じて市場と顧客を変革する企業戦略を持っている」とする企業が全体の20%に上るとした。

確認申請が押印レス(国を挙げたDXの推進)。日本では長期的なアプローチが目立つ

 国から「押印を求める手続きの見直しなどのための国土交通省関連省令の一部を改正する省令」も発せられ、2021年1月1日に施行されている。これによって確認申請では、図面押印が不要となりDXが進んだ。DXのベースとなるのは、当然ながらクラウド環境だ。

 菱田氏は、この変化をトピックスとして、「国を挙げたDXが進むことで、出力された紙が正だった環境から、BIMモデルが正となった大きな転換点を迎えた。オートデスクは今後、鍵となる共通データ環境(CDE)で応じていく」と話す。

 日本がDX化に大きく舵を切ったことにより、計画・設計段階でのIT投資が加速することが予測される。これまでの日本では、諸外国に比較してこの分野へのIT投資が遅れていた。

 調査データを分析することで、建築における多くの付加価値は、計画・設計の初期段階で生まれることが分かる。ここにIT投資を集中させることで、より魅力のある建築設計が可能となる。

計画・設計の初期段階で50%を超える価値を生む

 日本におけるIT投資では、「従業員にフレキシブルな労働環境を与えられているか」や「その中でコラボレーションができているか」などへの意識が高まっている。その象徴とも言えるのが、大和ハウス工業が認証を取得したBIMでのコラボレーションの国際規格「ISO 19650」。ISO 19650では、ユーザーがどのようにBIMモデルに関わればよいのか、共通データ環境(CDE)の活用を指し示しており、今般の認証取得を機に、国内でもその考え方が普及しつつある。

 菱田氏はISO 19650について、「BIMモデルをどう作っていくのかの役割分担、どのタイミングでどのようにアップロードし、あるいはチェックするかという人の関わり方や人のジョブを定義することにもつながっている。ジョブ型雇用への転換やエンゲージメントを高める流れとISO 19650は、合致している」と指摘する。役割業務の明確化が進んでいる中では、従業員ごとの業務量を把握することが重要になるが、オートデスクではそのための枠組みも用意しているという。

多彩なソリューションで、建築土木分野のDX変革をサポート

 「オートデスクと進める建築土木分野での変革」のアジェンダでは、実際にDXに向けた変革を進めるにあたり、オートデスクで用意しているサポート体制に触れた。

 DXへの変革では、デジタル化の成果を定量的に把握する必要がある。また、「何をもってDXの成功とするのか」の指標も重要となる。さらに、部門的なDXを全社にまで展開するにも工夫がいる。

 これに対し、オートデスクでは単なるベンダーの立場ではなく、パートナーの立場から業務改革をバックアップする。例えば、DXの成長を把握する指標として、「BIM成熟度分析ツール」を建築・土木分野に応用して提供している。

 このフレームワークは、5段階のレベルで構成されている。5段階のレベルは、DXの成熟度を示すが、レベルは1段ずつステップアップしていく。現在の状況や環境をExcelのような表に記入するだけで、現時点でどのレベルにいるかが分かるようになっている。

建設向けのBIM成熟度分析ツール。DXの成熟度を客観的に把握できる

 もちろんながら、製品やソリューションでもアップデートをしている。講演では、10以上のCAD/BIM製品を網羅する「Architecture, Engineering & Construction(AEC) Collection」とクラウドベースのコラボレーションツール「BIM 360 Design」に関する最新アップデートについてプレゼンした。

 まず、AEC Collectionにクラウドサービスへのアクセス権が追加され、BIM 360やDOCSの利用が可能となった。また、BIM 360 Designが「BIM Collaborate Pro」へと進化し、干渉チェックなどの機能が加わった。

 この他、それぞれの利用状況がAutodeskIDで一元管理されるようにもなった。ユーザー管理にIDを使うと、各ユーザーがどのように製品を使っているかをトレースできる。ユーザーは異なる端末からログインしても、必要なツールが利用でき、管理側ではより細かなユーザー管理ができるメリットが生じる。さらに、使用頻度の可視化や適切な投資によるライセンスコストの最適化をはじめ、サーバやシリアル管理が不要となるため、ITコストやリソースの軽減といった恩恵が得られる。

 最後に、菱田氏は「こうした製品群をより一層、利活用していただき、オートデスクとともにDXの未来に向かって進んでいければ」と抱負を語った。

国交省のBIM/CIM最新動向

 「Autodesk AEC Collectionで原則BIM/CIM化へ備えよう!」と題したセッションでは、オートデスク 技術営業部 松本昌弘氏が登場。「BIM/CIMこれまでのふりかえり」「最近の動向について」「Autodesk BIM/CIM Solution によるガイドライン、要領/基準類への対応について」のアジェンダで進行した。

オートデスク 技術営業部 松本昌弘氏

 まず、「BIM/CIMこれまでのふりかえり」では、2012〜2016年にかけて実施されたCIMの試行案件を経て、国土交通省から「CIM導入ガイドライン・CIMの運用に関する基準」が公開された経緯を解説。

 ガイドラインは、当初から毎年継続的に改善・拡充していくことが謳(うた)われていた。改善・拡充の方法としては、発注時にリクワイヤメント(要求事項)が提示され、要件に対応できる業者のみが手を上げる方法が採られた。

 2020年度(令和2年度)のリクワイヤメントでは、必須項目に加え、10の選択項目が設定された。この10項目から4つ以上を選択し、業務・工事を行うことが求められる。

令和2年度 BIM/CIM活用の実施方針 リクワイヤメントの設定 出典:国土交通省

 リクワイヤメントは、年を追うごとに改善・拡充されていく。2021年度のリクワイヤメントでは、リモートや非接触といったインフラ分野でのDXに焦点が当てられている。高速の5G回線を使った重機の遠隔操作やVRを活用した現調なども含まれるが、当然ながらこれにはBIM/CIMの活用が不可欠となる。

 2019年春に国土交通省が公開した資料には、「インフラのDX化を進め2023年度までに小規模なものを除く、全ての公共工事について、BIM/CIM活用への転換を実現」と明記されている。実は、それ以前に「2025年度までに〜」とされていたものが2年、前倒しされた。

 工事の規模について明確な表記はないが、小規模な案件以外は、原則BIM/CIM化の方針が採られている。松本氏は、「90%以上の公共工事は原則BIM/CIM化されるだろう」との考えを示した。

インフラ分野のDX推進。「インフラのDX化を進め2023年度までに小規模なものを除く、全ての公共工事について、BIM/CIM活用への転換を実現」と明記されている 出典:国土交通省

 2021年春に改定されたガイドラインによって、今後の方針も見えてきた。試行された工事・設計業務の件数が2012年は11件だったのに対し、2019年は361件、2020年は未定を含め382件と、年を追うごとに増加していることが分かる。

 また、松本氏は「リクワイヤメントがかなり整理されてきている」と、傾向を読み解く。これまでのリクワイヤメントでは、円滑な事業執行に加え、要領/基準類の改定に向けた課題を抽出することが設定されていた。このため、現実の工事では実行するのが難しい項目もあった。しかし、最新版では円滑な事業執行のみに限定し、実施内容に合わせた目的を示し、生産性の向上が見込めるものを提示する運用へと変化している。

令和3年度 BIM/CIM活用業務・工事のリクワイヤメント(案) 出典:国土交通省

 CIM導入ガイドラインについても、令和2年度に「BIM/CIM活用ガイドライン(案)」へと全面再編が行われた。当初は、6編でスタートしたものが、令和2年度版では港湾編までを含めた第11編となり、令和3年度は、河川、砂防及び地すべり対策、ダム、道路、機械設備、下水道、港湾に統合されている。

BIM/CIM活用ガイドライン(案)の改定内容 出典:国土交通省

原則BIM/CIM化を実現するAEC Collection

 年度ごとに変化するリクワイヤメントだが、オートデスクはBIM/CIMの業務・工事に関して強力な機能を提供する知見とノウハウを有する。その一つがAEC Collectionで、調査、設計、施工、維持管理の各フェーズを強力にフォローする複数のソフトウェアで構成されている。

 BIM/CIMに関しては、Revitが対応し、Revitで作成した3Dモデルを、3次元の都市計画モデルを生成するコンセプトデザインソフトウェア「Infraworks」で表示し、美麗なプレゼンテーションを行うこともできる。3Dモデルレビューソフトウェア「Navisworks」を使えば、タイムラインを動かしながらの施工シミュレーションも可能だ。他にも、点群データを扱うReCap、強力な関係者間のコラボレーションを実現するBIM 360も用意されている。AEC Collectionによって、差し迫った原則BIM/CIM化に確実に対応できるようになる。

AEC Collectionを構成するソフトウェア群。土木分野の測量、調査、設計、施工、管理を一つのパッケージに

 決定している原則BIM/CIM化だが、契約図書の作成では全てを3DのBIM/CIMモデルで表現するよりも、2Dで表現した方が分かりやすい面も分かってきたという。国交省の「3次元モデル成果物作成要領(案)の制定」には、当面2Dの図面が残ることを前提に、どのように3Dモデルを作るかが示されている。

 このような過渡期の措置とも思えるものにも、AEC Collectionは対応している。講演の終盤では、Civil 3DとRevitで3Dモデルから2D図面を作成する例を示し、属性情報やレイヤーの扱いを含む処理、試行案の検討などの例を披露した。


 「オートデスクの日(Otsuka & AUTODESK Collaboration DAY “2021”)」は、ここで紹介したセッション以外にも、建築・土木・製造分野のキーノートやユーザー事例、テクニカルセッションなど、明日から役立つ全40セッションを無料で視聴できる。公開は2021年6月30日までのため、お早めに登録を。

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提供:株式会社大塚商会、オートデスク株式会社、SB C&S株式会社
アイティメディア営業企画/制作:BUILT 編集部/掲載内容有効期限:2021年6月17日