照明器具の市場は、2020年に大きな転換点を迎える。2013年に国際的な水銀規制が採択されたことを受け、一般照明用水銀ランプの製造/輸出/輸入は2021年以降、禁止される。これまでなかなか普及してこなかった照明のLED化工事がここを起点に屋内外で急速に進み、本格的なLED化の時代へ突入することが期待されている。「暮らし」に関わるあらゆる場面で事業展開しているパナソニック ライフソリューションズ社では、こうした市場動向を背景に、街を照らす照明としてさまざまな屋外空間に設置されている街路灯に着目。建設現場で叫ばれる技術者不足をも解決する省施工の街路灯リニューアル専用ポールを開発した。
パナソニック ライフソリューションズ社は、2020年から急激な変化が予測される照明市場を見据え、簡易施工を可能にしたこれまでに無いタイプの“街路灯ポール”の販売に注力している。なぜ街路灯なのか?市場優位性は何か?2019年12月初旬に、埼玉県内で行われた施工実演会から、これまでの施工方法との違いや導入するメリットを探った。
街路灯ポール(ポールライト)は、ポール上部に照明器具が備え付けられた屋外に設置する街灯のこと。公園や広場、商業施設の敷地内、駐車場など、街中を歩けば至る所に存在し、パナソニック ライフソリューションズ社では、自治体が管理している道路などの公共用地や共有地を含め、全国で185万台ものストック需要があるとみている。
その上で近年、問題となっているのが、屋外環境によるストレスで、腐食や金属疲労の経年劣化が多発していることだ。とくに地面に近いポール下部は、他の部位に比べ劣化の進行が早く、サビや穴が開いたままになっていることが少なくない。現に、歩道や車道上の照明用ポールが倒壊して、人身事故や交通事故となり、甚大な被害がもたらされるケースも現実に起きている。
腐食が進む原因は、塩害、雨漏り、犬の尿などさまざまなことが要因となり得る。パナソニック ライフソリューションズ社 ライティング事業部 屋外エンジニアリング商品部 営業企画課 古本実照課長は、「照明工業会の調査結果によれば、おおよそ設置後16〜20年の経過で、約6割が劣化されるといわれており、21年を超えると4割以上で撤去が必要になるとされる。設置後20年以上経過している街路灯は100万台以上と想定され、この中で危険性があるものは4割にも上ることが推定される」と説明する。
こうした危険性の高まる街路灯の建て替えを後押しするのが、国内照明器具を取り巻く状況だ。2013年10月に水銀汚染防止のための国際条約「水銀に関する水俣条約」が締結され、2015年3月に「水銀による環境汚染の防止に関する法律」が閣議決定されたことで、2021年1月以降は、水銀ランプの製造と輸出入は全面禁止となる。
照明器具メーカー各社では、既に2021年までに水銀ランプの生産を終了させることを明言しており、現状で限定的にとどまっている屋外照明のLED化の流れを加速させる意向だ。ストック需要規模で投光器を上回る街路灯でも、この機に、明るさアップや消費電力の抑制だけでなく、年間電気代のコストダウンにもなるLED照明への付け替え工事が急増することは確実視される。
LED化と老朽化対策を同時に行える街路灯ポールの交換に関しては、これまではポールを自立させるための大掛かりな工事が、時間と手間が掛かりネックとなっていた。そこで、今後の需要に応えるべく、パナソニック ライフソリューションズ社は、基礎工事が不要となるリニューアル専用ポール「QQポール」を開発した。
QQポールは、既存のポールを根元で切断して、新しいポールをそこに差し込み、速乾性モルタルで固めるだけで設置が完了する。従来工法では、コンクリートの基礎交換も含め、最低でも2日かかっていたが、QQポールであれば約4時間で交換は終わる。ラインアップは、ポール径、高さ、色違いで全20品番を用意している。
古本課長は、QQポール導入によってもたらされるメリットを、業界における職人/技術者不足の解消も一つと強調する。「建設業界における電気工事士は、50歳以上が60%を占め、高齢化は深刻化している。定年を迎える技術者が退職していく一方で、若年層の入職者は少なく、2020年前半には想定需要に対し、2万人ほどが不足する見込みで、2045年は2018年に対し、73%減り、人材の需給バランスが大幅に崩れてしまう」(古本氏)。
そこでメーカーの責務として、「人手の足りていない現場に、施工性の向上や短工期をもたらすことを目的に、QQポールを投入した。QQポールであれば、基礎の撤去や基礎工事が無いため、工期が時短になれば現場の働き方改善、さらにはコスト面も抑えられる。これからは研修会や体験会など、対外的な発信をしていき、建設現場の生産性向上につながるツールとして周知していく」と語った。
QQポールの具体的な施工手順は、埋め込み式交換ポールであれば適合可能で、ポール下部径(φ114.3〜165.2)や基礎表面のクラック、基礎境界部から上にサビ/穴アキが無いかなど、施工不良の原因となる要素を事前にチェックする。
その後、まず高所作業車に搭乗して灯具のみを取り外し、根本から15〜25ミリの高さでポールを切断。残ったポールの内部を掃除して配線を取り出し、新しいQQポールを挿入する。本体備え付けの垂直調整治具で、垂直に立てて、隙間に速硬性のモルタルを流し込み、コンクリートで根巻きを施して、最後にLED照明をポール上部に取り付ければ完成する。
古本氏は、「施工費を含めたトータル費用の面でも、採用する利点は大きい。ショベルカーを用いた基礎撤去や新たな基礎工事が発生しないため、これまでの街路灯交換と比較しても約20%程度のコスト削減が可能になる。今までは1カ所で数日を要していたものが数時間で終了すれば、次の工事へとすぐ移れるし、人工代の節約にもなる」と話す。
また、「QQポールは2019年5月の発売から、スポーツセンターや店舗などでこれまで200本近くの交換実績がある。例えば公園などは、建った後にそのまま放置されてしまっていることが多い。そのため、ボリュームの多い公共施設での導入を促していきたい」と展望を語った。
なお、パナソニック ライフソリューションズ社では本格的な販売開始に併せ、照明器具付きポールを1台限定で、モニターとなってくれる方に無料で提供する「QQポールで街路灯リニューアルお手伝いキャンペーン」を展開している。
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提供:パナソニック株式会社 ライフソリューションズ社
アイティメディア営業企画/制作:BUILT 編集部/掲載内容有効期限:2020年2月8日