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» 2019年03月27日 10時00分 公開

フランス発の建設現場向けアプリ:大手を含むゼネコン6社で導入済み、建設業の利益率向上と“作業靴を履いたBIM”「FINALCAD」の無限の可能性

世界各地の建設プロジェクトで活躍の場を広げるフランス・FINALCAD(ファイナルキャド)が日本法人を設立した。同社が提供する「FINALCAD」は、建設業の設計から施工、維持管理までのサポートとデータ分析を一貫して展開できる現場管理アプリケーションで、BIM(Building Information Modeling)モデルをタブレットやスマートフォンから手軽に確認できる機能も備える。現場で発生した不具合箇所をリアルタイムで情報共有したり、多言語対応により外国人労働者と綿密な連携が図れたりするなど、日本の建設業が抱える“慢性的な人手不足”や“働き方改革”を解決に導く。そのFINALCADの可能性について、本社CEO(最高経営責任者)のJimmy Louchart(ジミー・ルシャール)、日本法人代表のBaptiste Joyeaux(バティスト・ジュワーヨー)の両氏に聞いた。

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 フランス・FINALCADは2019年2月26日、日本法人の設立記念セミナーを都内のフランス大使館で開催した。同社が開発・提供する現場管理アプリケーション「FINALCAD」は、建設業の設計から施工、維持管理までをトータルサポートをし、現場の情報をリアルタイムで共有できる他、そのデータ分析により建設プロセスの改善も促す。

 同社では現場からのIT化を掲げ、「設計と現場」「元請けと下請け」「日本人と外国人労働者」が綿密に連携可能なアプリを提供している。各部門や担当者に合わせた複数のアプリを用意し、それらを1つのプラットフォームとしてユーザーに供給する。BIMにもいち早く対応。“BIMに作業靴を履かせる”というキーワードのもと、実際の現場でタブレットやスマートフォンから3次元モデルを手軽に見られるカンタンなインタフェースとなっている。

 これまでに、シンガポールのマリーナベイ・サンズホテルをはじめ、アジアを中心に世界各地の大型プロジェクトで採用が進み、小規模のものも含めると2011年の本社設立時から合計20万件以上の実績を誇る。2017年6月には、フランス国内3位の建設会社「Eiffage」と戦略的パートナーシップを結ぶなど、ワールドワイドで建設業界のIT化には欠かせない存在となっている。

 日本法人の設立にあたり、本社CEOのジミー・ルシャール、日本法人代表のバティスト・ジュワーヨーの両氏に、FINALCADの開発に着手した背景とその想い、今後の建設業に必要不可欠なIT化による利点と把握すべきリスク、なぜ現場からのデジタル化が重要なのか?そしてBIMモデル、AI、VRなどとの連携によるFINALCADが持つ無限の可能性に迫った。

熟年建設技能者のノウハウを次世代へ伝える“研修授業”から着手

FINALCAD本社CEOのジミー・ルシャール氏

ルシャール 私は、フランス・パリの工学系大学で数学を専攻し、両親は建設業を営み北部周辺で橋梁(きょうりょう)の施工などに携わっていた。ゆくゆくは家業に大学で修得した知識を生かせないかと考えていた。

 大学卒業後、会社を立ち上げた当初は、建設業のコンサルティングを展開。現場に赴(おもむ)くと、高度な技術を持った高齢者が、次世代へ技術を継承する間もないまま定年退職していく実態があった。これは非常にもったいないと感じ、デジタルビデオなど当時のITツールを活用し、現場で長年働いてきた熟年建設技能者が持つノウハウを若い世代に引き継ぐ、“研修授業”を始めた。

 5年間のうちに2000カ所の現場を見て回ったが、同じ業務内容でも仕事の進め方は会社や人により大きく異なることを肌で体感し、その中から最適な作業方法を特定する必要性を感じた。また、大企業であるほど、1つの情報が部門内で止まってしまい、他部門にまで共有されない現状も変えるべきだとも実感。そこで、関係者全員が容易に情報共有でき、シンプルに扱えるソフトウェアを開発しようと心に決めた。

FINALCADの開発に着手した理由とは?

ルシャール そういう目線で現場を見るようになると、抱える仕事量の多さなど現場の苦労が身に染みる。とくに、報告書作成のためには多くの時間が割かれていた。これも大企業であるほど、さまざまな方面に提出しなければならず、施主に渡すものであればプレッシャーも高くなる。それらの作成に、タブレットやスマートフォンなどを活用すれば、仕事量を大きく低減できるのではないか。

 また、企業の大小に関わらず、全社一丸となり業務を進めていく意気込みは頻繁に耳にするものの、実際の現場を見れば縦割りで、横断的な意思疎通が図れている組織は非常に少ない。そうなると、自社が保有する技術知識や文化といった良さが全体を通じて生かされず、建設プロジェクトごとに全てイチからのやり直しばかりを繰り返し、効率性に大きく欠ける。これらを改善し、プロジェクトの情報共有をもっと手軽なものとする仲介者に、私たちが成れないだろうかと考えるようになった。

デジタル化によるリスクの把握とは? 設計と現場の乖離を防ぐために

ルシャール氏

ルシャール デジタルツールを建設の現場で普及させるためには、世界の建設市場で上位に位置する大手ゼネコンへの働きかけからスタートする必要がある。大手には、業界そのものを牽引(けんいん)したり、私たちが考えているような新しい方向性を伝えたりする役割もある。

 IT化により、業務全体の効率化はもとより、企業価値の向上も図れるはずだ。だが、それは設計の要となるBIMを起点とするものではない。なぜならプロジェクトの中で設計に携わる者は一握りであり、現場で働く人たちにスポットを当てなければ、建設業におけるデジタルツールの普及はいつまでも進まないからだ。

 建設業のIT化で気を付けるべき点は、設計と現場の乖離(かいり)である。通常は管理運営部門や設計部門からデジタルツールの導入を進めるが、そうなると現状でも問題視されている設計と現場の距離が一層離れるだろう。これは、非常にリスクが高い。設計側はIT化により、作業効率もグンと上がる。しかし、そのスピードに現場サイドが追い付かず、リズム感に大きな違いが生まれては元も子もない。本来であれば、デジタルツールの活用により、ミスの未然防止などにつなげるはずが、現場との齟齬(そご)で何の改善にもならないケースも多々ある。

FAINALCADのiPadでの使用イメージ

 このため、私たちはBIMに対しても、“作業靴を履いてもらい、現場に降りていただこう”という考えを持っている。逆方向から、現場作業員の人々が理解できるIT化が大切。経営側は、デジタルツールの導入によるリスクも把握し、どのように回避すべきかを意識する必要があり、そのための中心となる責任者も組織内に置くべきだ。

 現場の人たちにITを導入してもらうには、簡単に使いこなせるとともに、作業が効率的になったと“実感”してもらうことが重要。例えば、毎晩作っていた報告書を自動で作成できるなど、日常の作業が分かりやすく楽になったと身をもって体感させるべきだ。一方で、上層部がITに求めるものはコスト削減による利益率アップであり、このニーズにも対応しなければならない。現場と上層部が求める要望を何度も行き来させることで、次第に社内のデジタル化が全体的に調和・統合されて形となっていき、さらなる効果を生み出していく。

建設現場の価値をも高めるFINALCADによるIT化がもたらす可能性

ルシャール では、具体的に現場で欲しているものとは何か。私たちは労務管理から始め、作業員を何人雇い、何時間働いたといった非常に面倒となる報告書作成の自動化から着手した。次いで、戦略的にITを活用すべき時期を考えると、引き渡し時となる。その場面は、施主をはじめ、関係企業が勢ぞろいする緊迫したシーンで、その時に皆がデジタルツールで情報共有しながら効率的にコミュニケーションを進められれば、全体のストレスも緩和できると考えた。

 また、施工の最終段階である引き渡し時にITを導入すれば、使いやすさの記憶も鮮明に残る。引き渡し時のIT活用は、品質管理にも適用しやすく、クライアントから求められた品質情報をリストアップし、デジタルツールにより、実際の施工の流れまで把握する活用法にも行き着く。

 そして、最終的にITを工程全体に導入できれば、さまざまな作業が楽になることから、コスト削減に集中したり、労働時間を減らしたりと、最適な工程を探すことに自ずと注力していくようになる。

 海外では業務内容が明確に定義されていなく、その範囲も曖昧になっている国が多い。IT化により、そういった部分も整理できるメリットはある。基礎の品質確認や作業員の安全管理、部品別の設置確認など、仕事別に内容を定義付ければ、最も効率の良い工程手順をデジタルツールで割り出すことが可能になる。現在、20業務ほどの定義付けを終えているが、最終的には50業務前後まで明確化する見通しである。

プロジェクトメンバーとのチャットでのやりとり(中身のデータは実在するものではありません)

 全体のデジタル化を進めることにより、建設業の在り方も変えていける。例えば、扉を1つ取り付けるだけでも、壁や柱といった構造部分のほか、近くにコンセントを設置する際の電気工事など、いくつもの下請けが入るため、間違いや混乱が起こりやすい。デジタルツールを導入すれば、自身の業務内容しか見ていなかった下請けが、全体を把握しながら作業できるようになり、トラブルを未然に防げるほか、元請けとの関係性の変化にもつながる。

 全体工程の中で、自分たちがどのセクションを任されているのか、それを明示するだけでも下請けのモチベーションにつながる。ひいては、業種そのものの価値を高めることにも寄与していくものだ。

チャット機能と35カ国語対応で外国人労働者との共通理解も図れる

スマホでの利用も可能なFAINALCAD
日本法人代表のバティスト・ジュワーヨー氏

ジュワーヨー 私たちの開発したFINALCADは、複数のモバイルアプリケーションが連携しており、現場、設計、管理などの用途に合わせたアプリを選択できるプラットフォームである。現場ではチャットで会話や画像を共有、設計なら各種BIM(IFC スタンダードフォーマット)/CADソフトとの連結、管理運営であれば効率化の分析など、さまざまなアプリを用意している。その全てのアプリが連動するようになっている。

 アプリの提供開始当初は、タブレットより持ち運びが簡単なスマートフォンから始めた。IT化によるペーパーレスはもちろん、入力作業は一度で簡易的に済ませられ、その情報も各方面と簡単に共有できるシステムの開発を目指した。

 FINALCADは、現在進行しているほぼ全ての建設プロジェクトに対応可能だ。国外案件で言葉が通じない現場では、アプリのチャット機能でたくさんの画像を共有しあうことで、リアルタイムで共通理解を図れる。

 言語は35カ国語に対応しており、端末ごとに言語設定を変更して作業内容を示すことも可能だ。2言語まで設定することができるため、英語と母国語を設定して使用されるケースが多い。今後必要があれば対応言語の数は増やしていく方針だ。

現場でBIMモデルが確認でき、不具合カ所も瞬時に全社で情報共有

ジュワーヨー 現場では、読み込んだBIMモデルの画像をタブレットやスマートフォンで建設ゾーンの区画ごとに閲覧でき、タップするだけで2次元図面と3次元モデルを切り替えられる。図面/モデルには、不具合箇所や危険な場所などを追記したり、その場で撮影した写真をアップして関連づけたりもできる。

 プロジェクトに参加している企業はもちろん、全工程における担当企業、業務内容、作業時間まで、工事に関係する情報を関係者全てで共有するシステムを構築している。現場にいなくとも、詳細な現状をリアルタイムで把握できるので、自社内はもとより協力企業間で円滑なコミュニケーションが図れる。

FAINALCADで施工箇所を関係者間でチェック

 また、システムそのものがアプリ使用者をサポートする機能も充実させ、誰でも簡単に取り扱えるものとしている。これらのデータは、世界各国に構えるデータセンターでクラウド管理している。オンライン状態であれば常時同期されるが、オフラインでもシステムは動かせるようになっている。

 報告書を例に挙げれば、通常1日あたり2、3時間をかけて作成しているという話をよく聞くが、これの自動化も実現。能力の高いエンジニアが他の重要度の高い業務に時間を費やせるようにした。また、紙ベースでのやりとりだと、例えばビルの施工時に1階で起こしたミスを2階、3階でも繰り返すような現象が生じる。こういったものも、全体への情報共有により避けることができよう。日本で課題解決が急務とされている人手不足の深刻化や働き方改革に大きく貢献するのが、FINALCADだ。

国内外のゼネコン約100社で導入、AI実装も視野に

iPadでFAINALCADのチャット機能を示すジュワーヨー氏

ジュワーヨー 研究開発も重要視し、AI(人工知能)実装のシステムもデータサイエンティストとともに自社の研究所で進めている。簡単に述べると、当社で500万枚以上保有する不具合などの写真を生かし、現場でタブレットやスマートフォンをかざす(撮影する)だけで、傷や汚れがある部分をAIが自動認識するシステムを開発している。

 これが実用化されればBIMモデルとの整合性すら、スマートフォンをかざすだけで確認できよう。高齢化が進む建設業界で、経験の浅い社員であってもFINALCADさえあれば、さまざまな業務を滞りなく進められる。また、VR技術にも着目し、高齢の技術者でも分かりやすく3次元図面を使いこなせる仕組みも構築していくつもりだ。

 これまでの実績は、世界各国の大型プロジェクト2万件をはじめ、小規模のものも含めると合計で20万件に上る。地域別で見ると、アジアが45%で最も採用が進み、アメリカが20%弱、残りがヨーロッパと続く。大手ゼネコンを含む日本の建設会社6社の他、全世界約100社で採用されており、世界のトップ250社にランキングされる建設会社も多く含まれている。

スマホでの表示画面。左はプロジェクトごとに分かれた表示画面、右はBIMモデル

顧客に合わせたセミカスタマイズ対応ながら、協力会社も扱いやすい仕様に

ジュワーヨー FINALCADの提供方法としては、基本は顧客各社のニーズに合わせたセミカスタマイズ対応で、A社プロセス、B社プロセスといったように、それぞれのプロセスに合わせたシステムを構築し、クライアントが使いやすいよう配慮している。

 変わった例では、“電子黒板”を作って欲しいなどの要望に応じたこともある。最初はFINALCADの扱いやすさなどの優位性を体感してもらうため、各社の部門やプロジェクト単位でサービスを提供し、最終判断において会社全体での採用が決まれば総合契約を結ぶ流れ。元請けとなるゼネコンがFINALCADを導入すれば、下請けとなる協力企業とも安全に情報を共有できる。情報共有する内容も担当企業ごとに必要なもののみに限定して設定でき、機密情報が予期せず漏れる心配もない。

 また、ゼネコン各社のカスタマイズと言っても、あくまで仕事の進め方に合わせたもので、BIMツールのようにシステム自体を変えるわけではなく、協力企業が仕様の違いに戸惑う懸念もない。

iPad上に表示されたBIMモデルと属性情報

工程の一部ではなく“全体最適化”を実現し、BIMの持ち味を引き出す

ジュワーヨー 従来の現場管理アプリとの違いは、初期の段階からBIMモデルのコネクトを達成するとともに、データ分析により、作業方法などの改善につなげている点が挙げられる。これまでのアプリのように、現場でPDF図面を見るだけのものとは大きく性質が異なる。

 FINALCADは作業ごとの効率化はもちろん、設計から施工、維持管理までの建設のライフサイクル全体での管理を実現しており、プロジェクト内における全てのデータを見渡し、分析することで“全体の最適化”を図れる。不具合や建設プロセスの改善も実現し、ひいては収益向上までサポートする新発想のアプリとなっている。

ルシャール氏

ルシャール 具体的に言うと、例えばBIMは部材ごとの仕入れ価格も「属性情報」として残せる利点があるものの、ほとんどの会社は一度入力したままで放置してしまう。FINALCADを使用すれば、現場状況が明確に数値化されるため、価格見直しの根拠として役立てることもできる。

 日本の建設業界では、まさに現在がデジタル変革の黎明期(れいめいき)にあたり、これから15〜20年の歳月をかけて普及していくものになるだろう。私たちは、初期の段階からデジタル変革を一緒に進めていく中で、日本企業と良好な信頼関係を築きたいと考えている。

 既に、4年ほど前から海外プロジェクトでFINALCADを活用いただく機会を得ており、当社の日本法人を望む声も多かった。

 世界的な潮流としても、建設業のIT化は最重要視されており、i-Constructionを日本政府が推進するよう世界市場で日本企業が活躍の場を一層広げていくには、デジタル変革は欠かせない。そのIT化を建設の最前線にある現場から押し進め、BIMモデルの利点を最大限に引き出すのが“FINALCAD”だと確信している。

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提供:ファイナルキャド・ジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:BUILT 編集部/掲載内容有効期限:2019年4月16日

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