全ラインアップが新規格に適合済み、3Mのフルハーネスがプロに選ばれる理由フルハーネス徹底解剖!

1940年代に世界初のハーネス“安全ブロック”の特許を取得して以来、墜落防止ソリューションを世界中で80年近くも提供してきた3M。2019年2月1日のフルハーネス義務化と、新構造規格の告示に合わせて、日本法人のスリーエム ジャパンが発売する全モデルは、既に新しい規格への対応を済ませている。3Mのフルハーネスが、なぜ世界の建設現場で選ばれているのか?日本向けフルハーネス開発者へのインタビューを交え、徹底解剖する。

» 2019年02月19日 10時00分 公開
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全8種類のラインアップとなった3Mのフルハーネス

 厚生労働省は、年間2万件もの死傷事故が発生している高所からの「墜落・転落」事故を確実に防ぐため、労働安全衛生法施行令(安衛法)を改正した。施行日の2019年2月1日から、6.75メートル(m)以上(建設工事は5m以上)の高所作業では「フルハーネス型」の墜落制止用器具(旧名称:安全帯)の着用が原則となる。

 今回の政省令改正に併せてフルハーネスの性能や安全性を担保する製品試験を規定した構造規格も厳しく改められた。新規格に適合しない製品は、フルハーネスであっても、2019月8月以降は製造ができなくなる。

 フルハーネス義務化と規格改訂の流れを受け、対応を迫られるハーネスメーカーは多い。しかし、3Mのフルハーネスは、その全種類が国内での発売当初から、新規格案の性能を満たしていた。今回、幅広い用途やユーザーのニーズに応えるべく、ラインアップを8製品にまで拡充した。

 3Mは、40年以上前からフルハーネスを販売し、現在では世界で年間100万着の出荷実績がある。世界中のモノづくりの現場で、日々プロの命を守り続けてきた3Mのフルハーネス。安全製品づくりへの思いと製品設計のこだわりを開発者の安全衛生製品事業部 APAC コマーシャリゼーション部長・刀(たち)通子氏と、同部 マーケティング部 マネジャー・牛山紘郎氏に聞いた。

全モデル共通に安全性と作業性を両立させた機能を搭載

 3Mの日本法人スリーエム ジャパンが2019年2月1日、国内向けに発売したフルハーネスは全8モデル。3Mのフルハーネスのコンセプトは、墜落制止時の安全性はもちろん、着用して作業する際の動きやすさも考慮された、全モデル共通の機能を有することだという。では、その特長を詳しく見ていきたい。

 3Mのフルハーネスで、外見上の一番のポイントである“X型”の背面ベルトは、Y型に比べて、しっかり着用しても自由に動ける。モデルによっては、Y型だと座る時に背中のベルトが突っ張ってしまい違和感を覚える。落下時には、背中部を1本のベルトのみで支えることになる。その点、X型はフィット感が抜群で、腰を左右2方向から支持するので衝撃荷重も分散され、宙づりでも姿勢が安定する。

 下部の「骨盤サポート構造」は、骨盤を広く支えることで、落ちた際の衝撃を1点ではなく、臀部全体で受け流す。着心地にも配慮があり、腿ベルトが股へ食い込まず、しゃがんでも苦にならない。

X型背面ベルト(左)、骨盤サポート構造(右)

 胸元のバックルは、足場を踏み外して落下すると、上半身に負荷が一気にかかるなど、いつ起きるか分からない不慮の事故を想定して、屋外での太陽光や雨水などにさらしても劣化しにくく、頑丈な“金属製”を採用している。

 また、全ての製品のベルトに、糸の一部が切れても全体に伝わらずほどけない縫製が施されている。

金属製バックル(左)、強度を保つステッチ(右)
うっ血対策ストラップ

 さらに、フラグシップモデルの「3M DBI-サラ エグゾフィット ネックス」には、「うっ血対策ストラップ」が標準装備。落下後に宙づり状態になったら、腰のポーチに格納されたストラップを結び、足を乗せることで、股部の圧迫を和らげることができる。

 デモンストレーションで何十回と吊り下がり実演を行っている牛山氏は、「墜落制止時には、最大800kgもの衝撃が身体にかかる。そのため、ベルトで支える股には負荷が集中し、救助を待つ間に血がうっ血してしまう恐れがある。うっ血対策ストラップは、全てのモデルにオプションで装着させることが可能で、ループ構造のため、後付けも容易にできる」と説明する。

 腰の構造は、他社製品では固定されているものが多いが、ベルト交差部がループ型のため、作業時の多様な動きに追従して上下にスライドする。ベルトが突っ張らないため、快適な動作をサポートし、普段使い慣れている道具ベルトが通せる利点もある。

 このように3Mのフルハーネスは、全モデル共通で、安全性と作業性の両立が製品設計に盛り込まれ、どの製品でもハードな現場で人命を守り、さまざまな動きにも耐えうる仕様となっていることが分かる。

新たにラインアップに加わった“H型”の開発秘話

 全8モデルを見てみると、既存モデルが、高機能のフラグシップモデル「3M DBI-サラ エグゾフィット ネックス フルハーネス(以下、ネックス)」と、日本向けに開発され、アジャスターが回転式とパラシュート式の2タイプある「3M DBI-サラ エグゾフィット ライト フルハーネス(以下、ライト)」。

 価格を抑えたスタンダードモデル「3M プロテクタ フルハーネス(以下、プロテクタ)」は、従来品のレッドから人気のブラックにカラーをチェンジ。重さ約850g(グラム)と最軽量かつメーカー希望価格1万3800円と経済的で、塗装や機械のメンテナンスで汚れやすく頻繁に買い替える作業者向けだ。

既存モデルの「3M DBI-サラ エグゾフィット ネックス フルハーネス」「3M DBI-サラ エグゾフィット ライトフルハーネス」。カラーチェンジした「3M プロテクタ フルハーネス」

 新たに加わったのが、ライトとプロテクタのH型(水平腿)タイプ。H型は、安全性はそのままに、動きやすさをさらに向上させた鳶職や頻繁に動く建設作業者に最適なモデル。フルハーネスの上下ベルトを左右の腰のループ機構でつなぎ、伸縮や角度の変化にも柔軟にハーネスが応じる。

3M DBI-サラ エグゾフィット ライト フルハーネス H型
3M プロテクタ フルハーネス H型
H型を開発した刀氏

 H型開発者の刀氏は、「日本での本格展開を考えたとき、グローバルで販売している製品の機能を全て持ち込むのではなく、国内の建設現場で何が本当に必要なのかをリサーチする必要性を感じた。作業者の方にヒアリングしたところ、ハーネスを着けて昇り降りを一日に何度も繰り返すと、腿が真っ赤に腫れてしまうことがあると耳にした」。

 そこで、「腰に違和感を覚えないように、金属ではなく繊維製の輪“サイドループ”を備えたH型を考案。サイドループを境に上下のベルトが独立しているため、足を動かしても上半身のベルトがつっぱらずに動きやすい。他にも、道具ベルトを着用しやすくするために、ベルト調整機能を上部に移動し、腰部分のスペースを今まで以上に拡大した」と製品設計の意図を話す。

 「視察を繰り返して分かったのは、工事現場は平滑ではないこと。狭いスペースに建材や工具が散乱しており、支障を来すと、突き出しているボルトや飛び出しているH鋼の端にハーネスが引っ掛かってバランスを崩し、思いがけない事故につながる。アクシデントを無くすには、動きやすさがいかに重要かを再認識した」。

ライトH型を着用した牛山氏と開発ポイントを解説する刀氏

 実際には、H型の装着者として想定している鳶職は、長年の経験がものをいう世界。「落ちない自信があるが故に、ハーネスを緩く着ていることが少なくない。しかし、身体に引き締めるようにフルハーネスを着用していないと、落下時に頭がスポッとハーネスから抜けてしまう」と刀氏は言う。

 「最初のデザインには無かったが、最終的にネックスとH型には、首抜けを防ぐ、背中に1本の横ベルトを付けることにした。この横ベルトは、3Mでは“タングルフリー”と呼ばれているもので、もともとはフルハーネスの保管時にベルトが絡まないようにする役割がある。だが現在では、安全への有効性も広く認められ、米国の『ANSI(アンシー)規格』に盛り込まれている」。まさに、鳶職が作業する現場をじかに見てきたからこその製作秘話だろう。

ネックスとH型に備えられた首抜けを防ぐ背中の横ベルト

前/横にDリングを備えた2モデルと巻取り式ランヤード

 他のラインアップでは、ライトの「フロントDリング付」と、プロテクタの「ワークポジショニング用」も加わった。フロントDリング付は、胸ベルトに付いたDリングを垂直親綱やランヤードの代わりとなる安全ブロックに接続して、はしご昇降時の墜落を防止する。用途としては、工場の機械設備、風力発電、石油化学プラントなどのメンテナンスなどが見込まれる。

 ワークポジショニングは、両腰部の2つのDリングにロープをつなぎ、作業姿勢を固定。電柱や鉄塔など、高所の途中で止まって作業する際に役立つ。腰を保持するパッドには、柔らかく頑丈な素材を用い、がっちりと身体を保持するだけでなく、快適な作業性も備える。

特定作業向けのDリングを搭載した2種類の新モデル
巻き取り式ランヤードを説明する牛山氏

 今回の規格見直しによって、フルハーネスとセットで使用する「ランヤード」も、接続する高さにより、2種類のタイプからの選択が必要になった。

腰より高い位置にフックを引っ掛けるのが“タイプ1”、足元に取り付けるのが“タイプ2”だ。

スリーエム ジャパンでは、タイプ1の伸縮式、タイプ2の長さがあらかじめ決まっているロープ式に加え、ロック機能付きの巻取り式ランヤードを発売した。

 巻取り式は、作業時には常にランヤードの長さを最短に保ち、煩わしさを感じず、落下時にはオリジナルの「ショックアブソーバー」で衝撃を吸収する。不意の転落でも、荷重が急にかかると素早くロックが掛かり、落下距離を短く抑える。落下距離が短くなることにより、落下時の作業者への衝撃荷重をより小さくすることができる。

なぜ世界中のプロが3Mのフルハーネスを選ぶのか?

 他のメーカーには無い3Mの優位性について刀氏は、製品開発(R&D)とは別に、アプリケーション・エンジニア(AE)というポジションがあると指摘する。「AEは現場でのニーズを聞き取りつつ、技術的な提案も行う。いわば営業と開発の中間に位置し、橋渡しをする役目。当然、グローバルのAEスタッフが見聞きしたことは、日本の開発へもフィードバックされる。過酷な環境で鍛えられてきた世界中の膨大な事例を集約して、製品開発に生かすことができるのが強み。今後も、さらなる安全性と作業性を両立させるフルハーネスの探求を続けていきたい」と語る。

 フルハーネス義務化により、大手ゼネコンの現場では、フルハーネスを着用しないと入場できなくなることが予想される。そうしたとき、どのフルハーネスを選ぶか。プロのために研究・開発され、半世紀近くも世界中の過酷な現場で選ばれ続けている3Mのフルハーネス。安全性と作業性を両立させた他ではマネできない“技術の粋”がこのハーネスには集約されている。

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提供:スリーエム ジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:BUILT 編集部/掲載内容有効期限:2019年3月18日