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» 2018年11月05日 10時00分 公開

フルハーネス型安全帯のグローバルスタンダードとは?:40年間の開発を通じて、世界の現場で支持されてきた“3Mのフルハーネス”

2019年2月1日から、建設工事で5m以上の高所作業では、フルハーネス型安全帯の使用が義務化される。これに伴い、性能規格の改正も予定されており、これまで日常的に使われてきた「胴ベルト」はもちろん、新規格に沿わないフルハーネスの使用は2022年1月2日以降、全面禁止されることになる。国内最大規模の安全衛生保護具の展示会「緑十字展」でも多くのメーカーがフルハーネス型安全帯を出展していた。その中でも、デモトラックやVRを駆使したスリーエム ジャパンのブースがひと際目を引いた。世界75カ国以上で約40年に渡りフルハーネス型安全帯を販売しているという、3Mのフルハーネスの秘密を探った。

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 厚生労働省は、高所作業での墜落事故を防ぐフルハーネス型安全帯について、着用を義務化する新ルールを2019年2月1日から適用する。建設業で5m(メートル)以上の高所で作業する際は、フルハーネス型の安全帯(墜落制止用器具)の着用が原則となり、現在、主流の「胴ベルト型」の使用は全面的に禁止となる。

 フルハーネスの着用義務化に伴い、安全帯自体の性能規格も見直される。一定の移行期間を経て、2022年1月以降は、新規格に適合しない安全帯はフルハーネス型であっても、高所作業では使用することができなくなる。

 国内最大規模となる安全衛生保護具の展示会「緑十字展」(会期2018年10月17〜19日、パシフィコ横浜)でも、多くのメーカーがフルハーネス型安全帯を展示していた。その中でも、VRを駆使した体感コーナーや、実際に落下実験を行うデモトラックを使用した展示でひと際目を引いたのがスリーエム ジャパンのブースだ。3Mは40年以上に渡りフルハーネス型安全帯を販売し、世界75カ国で年間100万着の出荷実績があるという。現在、販売しているフルハーネス型安全帯が、既に全て新規格案に対応しているのは、スリーエム ジャパンだけだ。3Mがフルハーネス型安全帯のグローバルスタンダードとなっている理由を探った。

世界の現場で鍛え抜かれた“安全性能”と“使いやすさ”

 会場では、4種類のフルハーネス型安全帯を披露した。スタンダードモデルは最軽量の「3M プロテクタ」、ハイエンドモデルはうっ血対策ストラップを標準装備した「3M DBI-サラ エグゾフィット ネックス」。ユーザーの声をくみ取って日本向けに開発されたのが「3M DBI-サラ エグゾフィット ライト」で、ベルトのアジャスターが回転式とパラシュート式の2タイプが用意されている。

3Mのフルハーネスラインアップ。左からスタンダードモデル「3M プロテクタ」、ハイエンドモデル「3M DBI-サラ エグゾフィット ネックス」、日本市場向けに開発された「3M DBI-サラ エグゾフィット ライト(パラシュート式ベルトアジャスターモデル)」
「3M DBI-サラ エグゾフィット ネックス」のX型背面と下部の「骨盤サポートベルト」

 3Mのフルハーネスは、手頃な価格のモデルからハイエンドモデルまで、墜落制止時の安全性能に差がない。ラインアップ間での違いは、着脱のしやすさや着心地の良さ、疲れにくさなどにある。

 いずれの製品でも墜落制止時にかかる荷重をしっかりと分散することはもちろん、衝撃に耐えられる構造や長期使用に備えたメンテナンスにも工夫が凝らされている。製品サイズについても、Mサイズが幅広い身長(152〜188cm)・体格(体重63〜109kg)をカバーするため、サイズ選択で頭を悩ます必要もない。

 フルハーネス自体の構造は、背骨沿いにベルトが無く、前傾姿勢でも背中が突っ張らない、背面がX型・腿がV字型のベルトになっている。落下時には、腰を左右2方向から支えるので、姿勢が安定しやすく、衝撃荷重が分散されるメリットがある。前屈時には、背中に邪魔なベルトが無いため、現場での多様な動きにフルハーネスが追従する。日本ではX型が動きづらく避けられる傾向にあるが、3Mのフルハーネスは作業性・快適性を損なわない設計が為されており、3Mフルハーネスを着用体験した来場者は動きやすさ、着心地の良さに驚きの声をあげていた。

 V字の腿ベルト も“動きにくさ”“股への食い込み”により一般的に敬遠されるが、動きやすさと安全性を考慮したV字の角度、衝撃荷重をでん部全体に分散させる「骨盤サポートベルト」などにより、これらの課題を解消。さらに、「ループ式腰部ベルト」で、ベルトに可動域を持たせ、腿ベルトの突っ張り感を抑制しており、日頃使い慣れている道具ベルトを通すこともでき、使いやすさの向上も図っている。

 ベルトのステッチは、糸の一部が切れたとしても全体がほどけにくい、高い縫製技術で縫われている。背面部のベルト縫製部分は、一度でも衝撃を受けると、折り返し部分がはがれ、墜落履歴のあるものを一目で判別することが可能なため、多くのフルハーネスを管理する際に役立つ。

高度な縫製技術で縫い合わされたステッチ部と、着心地を考慮した柔らかいベルト素材

 安全性だけに着目して使用感を犠牲にすることが無いよう、作業性の面でもさまざまな機能を備える。ベルトそのものも、柔らかくしなやかな繊維を用い、体にフィットして動きやすく、日常的な使用でも快適さが保たれている。ランヤードを取り付ける背中のDリングは大型で、背中に手を回すだけで届き、ハーネスを着用したままランヤードとの接続がスムーズに行える。胸のランヤードキーパーは、瞬時にフックを外せる構造で容易な着脱を実現している。

 展示会場では、こうした多様な機能を有する3Mのフルハーネスの安全性と使いやすさを、VR体験や吊り下がり体験などを通じて、さまざまな角度から訴求していた。

盛況となった緑十字展でのスリーエム ジャパンのブース

メーカーの責務としてフルハーネスの普及・啓発に取り組む

デモトラックによる墜落防止実験

 メインステージでは、対外的な安全教育で使用する「デモトラック」を展示し、墜落防止用製品セミナーを行った。セミナーでは、フルハーネスと胴ベルトの落ち方の違い、落下時に受ける「衝撃荷重=400kg」を支えるためにフルハーネスが必須なことを説き、デモトラックでは実際に新規格案の性能を満たしたランヤードを用いて墜落制止実験を行った。

 フルハーネスの大切さを学習した後は、3Mのフルハーネスを着用して場内に設置された大型の三脚で、吊(つ)り下がりを体験した。フルハーネスの各機能を確認しつつ、「うっ血防止ストラップ」もテスト。うっ血防止ストラップは、吊り下げられた状態で長時間いると、ハーネスに体重がかかり股部分が締め付けられ、うっ血してしまうのを防ぐストラップで、救助を待つ間、腰に内包されたストラップを結び、足を掛けることで股部の負担が軽減される仕組み。

 筆者が吊り下がりを体験したところ、お尻部分で体重が分散して支えられる感覚があり、荷重が一部に集中しないように取り付けられている「骨盤サポートベルト」の機能を身を持って知ることができた。うっ血防止ストラップも、これがあれば、股の締め付けが緩和され、救助が来るまでの長時間の吊り下がりに耐えられることが確認できた。

来場者による吊り下がり体験
うっ血防止ストラップの体験

 注目を集めたのはVR(ヴァーチャルリアリティー)体験だ。北米では先行して、3M独自のトレーニングとして運用されている。仮想空間上でフルハーネスを着用し、高所からのリアルな落下事故と、ランヤードを引っ掛けて地上までの転落を防いだ場合の2パターンを体感。なぜランヤードを取り付けることが必要か、VR空間で体感することによって学んだ。

 実際にヘッドマウントディスプレイを装着してVR体験してみると、高所作業からの墜落は、頭では仮想空間と理解していても、自然と腰が引けてしまうほどの恐怖を覚えた。これであれば、落ちたことがない人でも、墜落の怖さを経験することができ、フルハーネスとランヤードを正しく装着する重要さを体で覚える効果的な安全教育といえる。

左はVR空間でフルハーネスを着用する体験者。右は高所でのランヤードを引っ掛ける作業

3Mのフルハーネス型安全帯が選ばれるワケ

スリーエム ジャパン 安全衛生製品事業部 事業部長 中辻陽平氏

 会場でスリーエム ジャパン 安全衛生製品事業部 事業部長 中辻陽平氏と、米国・3M本社から来日したフルハーネスや周辺器具を含む墜落防止用製品の責任者 ティム・マロウシェク氏に、3Mのフルハーネスを選ぶユーザーメリットなどを聞いた。

 マロウシェク氏は、3Mの製品づくりにかける思いについて、「規格に合致した製品づくりは当然のことだが、規格に沿うだけでなく、さらに上の安全性を目指し、実用性をも兼ね備えなければプロの道具とはいえない。これまでの知見から細かい工夫を積み上げて、フルハーネスだけで400以上の特許を取得・申請している。着やすさや作業性を向上させることで、作業員は着ることに抵抗感がなくなり、現場の監督者が指示しなくても着用するようになるため、現場全体の安全性を高めることにつながる」と安全性能と使いやすさを目指す開発意図を語った。

 今後の取り組みについて中辻氏は、「ハーネスは見た目だけで製品を選択することが難しい。当社としては製造・販売するだけではなく、出張デモトラックなどを使って現場のユーザーに体験してもらう機会をこれからも増やしていく。高所から落ちると何が起きるのか、今まで日本人が胴ベルトを使っていて体験したことが少ないからこそ、疑似的に体感してもらうことが一番の理解につながる」。

米国から展示会に合わせ来日した3M 墜落防止用製品 グローバル ビジネスダイレクター ティム・マロウシェク氏

 さらに中辻氏は、「世界的なフルハーネスメーカーだからこそ力を入れているのは、適切な使い方を教えるトレーニング。フルハーネスを着ていれば必ず安全なわけではなく、ランヤードやアンカーを含めて適切な使い方を知ることが不可欠だ。米国では、フルハーネスに特化したトレーニングが重要視されており、豊富なプログラムが展開されている。これを国内向けにも始めていきたい。こうしたフルハーネスの普及・啓発活動を通じて、エンドユーザーに、必要性や機能をまず伝えていくことがメーカーの責務だと認識している」と強調した。

 最後にマロウシェク氏は、グローバル市場での強みについて、「これまで革新的な製品を多く生み出してきたので、グローバル市場で3Mブランドの安全性・使いやすさは広く認知されている。法改正を契機に、日本市場ではこれから販売展開していくことになるが、フルハーネスに対する深い知識や経験があるからこそ、最良の製品を提供できると確信している。優れたフルハーネス型安全帯が浸透することで結果として、日本全体の高所作業者の安全性が高まることに結び付くことを期待したい」と抱負を語った。

 40年もの長きにわたり、開発を重ね、世界の現場で安全性能と使いやすさが実証されてきた3Mのフルハーネス型安全帯――。安全教育なども含めたさまざまな取り組みにより、3Mの製品が普及していくことで、日本全体の高所作業者の安全を守ることに結実するか、スリーエム ジャパンのチャレンジに期待したい。

緑十字展でのスリーエム ジャパンのブース全景

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提供:スリーエム ジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:BUILT 編集部/掲載内容有効期限:2018年12月4日