空調設備の風量測定で6割省人化、ロボットが自動で測定 鹿島建設:ロボット
鹿島建設は、設備工事に必要な換気/空調設備の風量測定業務を全自動で行うロボット「Air-vo(エアボ)」を開発した。施工中の現場5カ所で実証を行った結果、1回の風力測定業務に必要な技能者を従来の3人から1.25人に削減できることを確認した。
鹿島建設は2024年4月4日、設備工事の際に、建物の換気や空調設備の性能を確認する風量測定業務を全自動で行うロボット「Air-vo(エアボ)」を開発したと発表した。鹿島建設が施工中の現場5カ所で実証を行った結果、1回の風力測定業務に必要な技能者を従来の3人から1.25人に削減(約6割減)できることを確認した。
Air-voは、BIMデータをもとに測定場所の地図を作成することで、現場への搬入前に、対象の制気口とフロア壁面の位置を登録できる。このため、現場での測定箇所登録が不要になる。現場では登録した地図データをもとに、壁面との距離をセンシングしながら自動で制気口位置まで移動し、風量の測定を行う。画像認識で制気口と自機の位置を微調整し、照明器具に空気の吸い込み口がある「レタン一体型制気口」などの高精度な位置合わせが必要な場所でも正確に測定可能だ。
また、動作開始指示のみで、オフィスビルなどに設置される「アネモ型制気口」の一括自動測定を行える他、手動で機器を移動させた後に位置合わせ以降の作業を自動で行う半自動測定にも対応する。測定結果を記録した帳票の出力まで自動で行い、帳票には制気口のBIMデータIDを記載するため、測定箇所と風量データの照合も容易だ。
Air-voは、鹿島建設とカジマメカトロエンジニアリング、イクシスの3社が共同開発した。測定可能天井高は3.8メートル、組立後の大きさは650(幅)×850(奥行き)×1850(高さ)ミリで、重さは約100キロ(梱包後)。専用キャリーケース4つに分割して格納できるため、全国各地の現場に宅配便で輸送可能だ。組立後も一般的なドアの通過や、エレベーターへの積載ができる。
今後、現場業務をサポートする鹿島グループのOneTeamにより、Air-voの現場導入を進める。
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