300m超の超高層ビルを支える国内最大の拡底バケットを用いた拡底杭工法を開発、鹿島と東洋テクノ:施工
鹿島建設と東洋テクノは、300メートル超の高層ビルに対応する場所打ちコンクリート拡底杭工法「Earth-LEX工法」を共同開発した。新工法は、国内最大とする拡底バケットを用い、従来使用している掘削機や資機材で、直径6100ミリの拡底杭を築造できる。
鹿島建設と東洋テクノは2023年12月、300メートル超の高層ビルに対応する場所打ちコンクリート拡底杭工法「Earth-LEX(アースレックス)工法」を共同開発したと発表した。
従来工法と比べ、先端支持力で1.6倍、最大100MNクラスの高支持力を実現
Earth-LEX工法は、アースドリル式拡底杭工法で一般的に使用する掘削機、プラント、資機材での施工が可能で、汎用性が高く、施工性に優れた工法。Earth-LEXのEarthはアースドリル工法を意味し、LEXはLarge Expansion(大きな拡底)の略。
施工手順は、最初に従来の場所打ちコンクリート杭工法で用いる掘削機で、杭の軸部を支持層の所定深度まで掘り進める。次に新たに開発した専用拡底バケット(KTバケット)と立ち上がり部の専用拡幅バケット(TSTバケット)を用い、拡底部を拡大掘削する。
拡底部全体(傾斜部と立ち上がり部の高さ500ミリ)をKTバケットで掘削。拡底部の立ち上がり部の高さが500ミリを超える場合は、KTバケットまたはTSTバケットを用いて立ち上がり部を掘削する。
近年は、建物の高層化や大スパン化で、柱にかかる荷重が増大し、広く使われている直径4800ミリ以下の拡底杭では必要な支持力を確保できず、設計が困難となるケースが増えている。その場合、異なる高支持力杭工法を採用するが、新たな資機材が必要になるなどコストアップや工期延長につながるといった課題があった。
Earth-LEX工法は、これまでの拡底杭工法と比較し、先端支持力で1.6倍、最大100MN(メガニュートン)クラスの高支持力が実現する。
両社は、解析により拡底部の健全性が確保できること、施工実験で掘削時に土砂の崩壊リスクがないことを確認している。また、2022年8月には、日本建築センターの評定(BCJ 評定-FD0619-01)を取得した。
今後は、Earth-LEX工法の採用を進めるとともに、施工性のさらなる向上や低コスト化を図る。
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