廃食用油を用いた新しい形の地産地消型資源循環モデルを「東京ソラマチ」で構築、鹿島など:カーボンニュートラル
鹿島建設、都市環境エンジニアリング、東武鉄道、東武タウンソラマチは、商業施設「東京ソラマチ」の飲食店などから排出された食用油を用い、地産地消型資源循環の取り組みを進めている。B100を約4000リットル使用することで、10トンのCO2削減効果を見込む。
鹿島建設、鹿島グループの都市環境エンジニアリング(TKE)、東武鉄道および東武タウンソラマチは2024年2月、商業施設「東京ソラマチ」の飲食店などから排出された食用油を用い、再生エネルギーの回収から再利用までを同一地域でまかなう、「新しい形の地産地消型資源循環モデル」を進めていると発表した。
再生エネの回収から再利用までを同一地域でまかなう「地産地消型資源循環モデル」
東京スカイツリータウンは2012年5月に開業し、東京スカイツリーを中心に店舗数300以上の商業施設から成る東京ソラマチなどで構成される大型複合施設で、2022年度は約3088万人が来場した。施設では、開業時から、約40店舗の廃食用油(2022年度実績で43トン)を回収し、再利用している。その他にも、年間約3000トンの廃棄物が発生するが、都市環境エンジニアリングが一括で回収し、生ごみのバイオガス化、紙ごみの再生紙利用などを行っている。
東京ソラマチでは、約40店舗の飲食店から排出される月平均約3.6tの廃食用油も都市環境エンジニアリングが全て回収。100%バイオディーゼル燃料「B100」に再生している。メタノールを使用したエステル交換反応や洗浄、脱水に加え、真空蒸留で不純物を排している。
製造したB100は、燃料配送会社を介して鹿島JVの工事現場(東武鉄道伊勢崎線連続立体交差事業)に配送。2023年9月よりB100専用発電機の燃料として用いており、発電した電力は夜間の工事用照明などに使用している。
今回の取り組みは、同一地域で、再生エネルギーの回収から再利用までを担う地産地消型の資源循環モデルとなる。発表によると、B100を約4000リットル用いることで、約10トンのCO2排出量削減効果が見込まれる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- カーボンニュートラル:設計・施工業者としてアジア初、スターツCAMが「PAS 2080」に基づくカーボンマネジメントの認証取得
BSIグループジャパンは、スターツCAMに設計・施工業者としてアジア初となる「PAS 2080」に基づくカーボンマネジメントの認証を授与した。PAS 2080は、建設物やインフラストラクチャを対象としたカーボンマネジメントのガイドライン。建設業界に特化した国際的なカーボンマネジメント基準の認証を受けることで、施主などに対する透明性の確保につながる。 - 現場管理:中小建設業に特化、作業所単位で温室効果ガス排出量を算定できるサービスを開始
ゼロボードは中小建設事業者向けに、建設作業所単位で温室効果ガス(GHG)排出量を算定/可視化できるクラウドサービス「Zeroboard construction LIGHT」の提供を開始した。各作業所の場所や工期、用途、構造などの現場情報に加え、GHG排出量を含めた複数作業所を一括管理できる。 - 導入事例:横河ブリッジ、橋梁建設にCO2排出量ゼロの“グリーンスチール”を国内初使用
横河ブリッジは、国土交通省九州地方整備局発注の橋梁建設工事に、マスバランス方式でCO2排出量を100%削減した「グリーンスチール」を使用する。横河ブリッジによれば、国内橋梁業界でのグリーンスチールの採用は初めてだという。 - 現場管理:東急建設、環境データを一元管理できるシステム開発 工種工法ごとのCO2排出量推定も可能
東急建設はアイシーソフトが開発した環境データ一元管理システムに独自機能を追加し、運用している。工種工法ごとのCO2排出量推定から、竣工までのCO2排出量の試算にも対応し、環境関連データの把握/開示に関する業務を効率化する。 - サステナビリティ:工場の環境負荷低減や働きやすさを評価するシステムを明治工場に初導入、日建設計
日建設計と日建設計総合研究所は、工場建物の環境負荷低減や働きやすさ、品質確保などに関する取り組みを評価するサステナビリティ評価システムを開発した。明治の工場施設に導入している。 - 新建材:大林組がカーボンネガティブの注入材を開発、トンネル補修工事のCO2削減
大林組は、トンネル覆工裏込め注入技術「スペースパック工法」で使用する可塑性注入材について、製造時のCO2排出量を最大130%削減するカーボンネガティブタイプを開発した。従来と同じ性能や施工性を維持しながら、インフラ補修を低炭素化する。