横浜の賃貸マンションでDBJ認証5つ星、環境配慮型コンクリでCO2を500トン相当削減:産業動向
長谷工不動産の新築賃貸マンション「WORVE 横浜伊勢佐木町」が、日本政策投資銀行の「DBJ Green Building認証」で最高評価の星5つを取得した。通常のコンクリートと比較してCO2排出量を約2割削減できる環境配慮型コンクリート「H-BAコンクリート」を約8300立方メートル使用し、500トン相当の排出量削減を実現した。
長谷工不動産は2025年6月9日、神奈川県横浜市の新築賃貸マンション「WORVE(ワーブ)横浜伊勢佐木町」が、日本政策投資銀行の「DBJ Green Building 認証」(DBJ認証)で最高評価の星5つを取得したと発表した。居住者の快適性や環境への配慮が評価された。環境配慮型コンクリート「H-BAコンクリート」の使用量は、長谷工コーポレーションが施工した物件として過去最多となった。
WORVE 横浜伊勢佐木町は地上15階建て、総戸数218戸(店舗4区画)、敷地面積は1916.05平方メートル。設計・施工は長谷工コーポレーションが手掛けた。
DBJ認証は、環境や社会に配慮した不動産と、その不動産を所有/運営事業者を支援する認証制度で、建物の環境性能や居住者の快適性、多様性への配慮、災害対応力などを総合的に評価する。
WORVE 横浜伊勢佐木町は、省エネ/省資源対策として、採光性を高める大開口の設置により照明の使用を削減した他、雨水を貯水して植栽に利用するスマートウォータータンクを導入した。通常のコンクリートと比較して約2割のCO2排出量を削減できる環境配慮型コンクリートH-BAコンクリートを約8300立方メートル使用し、500トン相当の排出量削減を実現した。
居住者向け設備として、オープンタイプと半個室タイプの共用ワークスペースの他、ウェイトトレーニングや有酸素運動用設備を設けたフィットネスルームも用意。いずれも24時間利用できる。さらに、居住者同士の交流促進を目的としたコミュニティラウンジやキッチンスタジオも設置。ガス式ドラム洗濯機やスニーカーランドリーを備えるランドリールームは、家事の時短に加えて待機時間を活用した交流空間としても機能する。
災害時の生活維持設備として、組み立て式の非常用マンホールトイレや炊き出し用のかまどスツール、断水時にタンクにためた雨水から非常用飲用水を生成するシステムを導入した。
長谷工不動産のWORVEシリーズは、「働く(WORK)」と「住まう(LIVE)」の融合をテーマにしたハイブリッドマンション。WORVE物件がDBJ認証を取得するのは今回で3件目となる。
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