音声や画像で遠隔作業を支援可能なSaaSと映像取得で役立つスマートデバイス:OPTiM INNOVATION 2020(2/2 ページ)
兼松コミュニケーションズは、遠隔地から現場の作業者に指示が行えるオプティム製のSaaS「Optimal Second Sight」とさまざまなデバイスを組み合わせたサービスの開発を進めている。近年は、国内の事業所から海外の現場で働く作業員に指示が送れるサービスの開発も手掛けている。
サーマルカメラで施設の熱源を可視化するCAT S61
三上氏は、セミナー後半で、現場の作業者が、Optimal Second Sightを利用する際に便利な端末として、エプソン製スマートグラスのBTシリーズや、Vuzix製スマートグラスのM400、キャタピラー製スマートデバイスのCAT S61に触れた。
エプソン製のBTシリーズは、透過両眼型のスマートグラスで、現実空間に映像を重ねられる。ラインアップには、一般消費者を対象にした「BT-300」や装着性と耐久性に優れた業務用モデル「BT-350」、既存システムに有線でつなげられる「BT-35E」と「BT-30E」、Androidを搭載したスマートフォンに接続できる「BT-30C」などがある。
Vuzix製のM400は、単眼型のスマートグラスで、SoC(System on a Chip)には米QualcommのAR/VR用プロセッサ「SnapdragonXR1」を採用し、搭載カメラは1280万画素のため、4KやフルHD動画の撮影にも対応している。従来品の「M300」と比較して、電源ケーブルが専用ケーブルからUSBケーブルに変わり汎用性が上がっている。
CAT S61は、米国防総省が制定した規格「MIL-STD-810G」に準拠したテストをクリアし、防水・防塵の規格「IP68」に対応するなど堅牢性が高いのが他の機種との差別化になっている。
三上氏は、「CAT S61は、内蔵した50ルクスの懐中電灯を使用することで暗所や狭小スペースの撮影も可能で、取り付けられたFLIRサーマルカメラを用いてマイナス20〜400度の範囲で、熱源を視覚化するため、目視では分からない設備や建物の異常を発見できるようになる」と有効な機能を語った。
最後に三上氏は、「現在、遠隔作業支援サービスは、遠隔地からの建物における管理や衛生状態の確認といった用途で使用したいという顧客のニーズが増えている。また、国内の事務所から海外の現場にいる作業者に指示を発信するサービスも望まれているため、海外の現場と国内の拠点をつなぐセキュリティ性の高い遠隔作業支援サービスの開発を進めている」と現状の取り組みを解説した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 熊谷組とNECが“ローカル5G”活用で、VR遠隔操作の無人化施工に成功
熊谷組とNECは、ローカル5Gを活用し、4K映像と建機の傾きなどといった動きの情報伝送、VRでの遠隔操作を組み合わせた無人化施工の実証実験を行った。低遅延で大容量な通信を可能にするローカル5Gを活用することで、ネットワークの帯域不足といった従来の課題を解決し、4K映像や動きなど多様な情報をリアルタイムに伝送することで、実際に建機に搭乗したときに近い環境を構築することを目指す。 - パナソニック LS社が人の密集を可視化するシステムを開発、濃厚接触者の追跡に貢献
パナソニック ライフソリューションズ社は、建物内の人が密集するエリアを可視化する屋内位置情報システムを開発した。屋内位置情報システムは、既にリリースしている監視カメラシステムや入退室管理システム「eX-SG」と組み合わせて使用することで、社内で感染者が出た時に濃厚接触者を追跡することができる。 - エレベーターを自らボタン操作して警備巡回するロボット「ugo」
大成は、ロボットベンチャーのMira Roboticsと共同で、搭載された2本のアームと昇降機能で、エレベーターを操作する警備アバターロボット「ugo」を開発した。 - 揺れや傾きが生じても水平映像を映す衣服装着型ウェアラブルカメラ
ザクティエンジニアリングサービスは、カメラに揺れや傾きが生じても、水平を維持した映像が出力可能な業務用ウェアラブルカメラ「CX-WE300」を開発した。CX-WE300は、以前に発売したヘルメット装着型「CX-WE100」とは異なり、衣服装着型で、レンズカバーの開閉で録画の開始と停止ができるレンズカバー録画ボタンを新たに搭載している。 - 複数の現場“見える化”システムを統合する「Field Browser」を開発、鹿島
鹿島建設は、複数のシステムと連携し、環境データや作業員と建機の情報を一元管理可能なシステムを開発した。新システムは、これまで個別に導入し、運用してきたさまざまな「見える化」システムのデータを集約し、1つの管理画面で運用できるようにする。 - “200カ所”の施工現場を遠隔監視するセンターを10事業所に設置、大和ハウスとNEC
大和ハウス工業とNECは、現場監督の作業効率を3割向上させることを掲げ、初弾で戸建て住宅を対象に、施工現場をAIを用いて遠隔管理する「スマートコントロールセンター」を全国10カ所に開設する。NECは、2021年度中にも遠隔管理のシステムを汎用化し、建設業界への普及を目指す。 - スマホやPCで遠隔臨場可能な新システム、移動時間の削減や技能継承に貢献
大成建設は、ネットワークに接続した定点カメラとウェアラブルカメラの映像やセンサーで取得したデータをスマートフォンやPCに表示し、ステークホルダーがリアルタイムに現場の状況を確認できる「T-iDigital Field」を開発した。T-iDigital Fieldの効果を確かめるために、香川県発注の椛川ダム建設工事で実証実験を行った結果、ボーリング作業の検尺への発注者立会やコンクリート打設管理で、移動時間の削減などで有効だと判明した。検尺立ち会い検査は、大成建設が2019年度に実施した基礎処理工事の検査では、約3分の1を占めており、新システムを活用することで効率化が期待されている。 - 0.1ミリのひびを捉えるインフラ点検ロボット、大和ハウスが販売開始
大和ハウス工業はインフラ点検に活用できる狭小空間点検ロボットを開発。0.1mmまでのクラック(ひび割れ)を確認できる遠隔操作型のロボットで、点検業務の効率化に生かせるという。