複数の現場“見える化”システムを統合する「Field Browser」を開発、鹿島:製品動向
鹿島建設は、複数のシステムと連携し、環境データや作業員と建機の情報を一元管理可能なシステムを開発した。新システムは、これまで個別に導入し、運用してきたさまざまな「見える化」システムのデータを集約し、1つの管理画面で運用できるようにする。
鹿島建設は、気象や交通などの環境データと併せて、作業員と建機の位置や稼働状況の情報を一元管理できる統合管理システム「Field Browser」を開発した。
スタッフのバイタルデータも表示可能
Field Browserは、多様な会社が提供する複数のシステムと連携し、地図上に現場図面を重ね合わせて、環境情報とともに、作業員や建設機械などの位置情報をまとめて、リアルタイムにPCの画面に表示する。スタッフや建機、車両などの位置情報は、PCの画面上に、所属や職種、機械種別に映され、計画通りに、従業員や建機などが配置され、作業が行われているかを利用者が確かめられる。
定点カメラの映像と作業員の位置情報などをシステムにリンクさせることで、より正確に現場の現状を把握することも可能。スタッフのバイタル情報もリアルタイムにPCの画面に表示できるため、体調不良者を迅速に見つけられる。
さらに、建機や車両の稼働状態をPCの画面に表示する他、システムに蓄積した建機の稼働時間から算出した稼働率を基に、最適な建機の配置などを検討できる。加えて、リアルタイムの天候情報や72時間先の天気予報を調べられるため、作業計画の見直しなどに役立つ。
鹿島建設は、大阪府枚方市南船橋2丁目から西船橋2丁目で、2018年9月から着手している「新名神高速道路 枚方工事」の事務所に新システムを導入し試行している。
事務所では、設置した大画面モニターに、新システムや現場に取り付けた定点カメラの映像を常時表示することで、現場の状況を可視化し、工程などを管理している。新システムで現地立ち会いなどの管理業務も効率化しており、支店や本社では新システムを用いて遠隔監視で現場の状況をチェックしている。
今後、鹿島建設は、Field Browserと、資機材の現場内での位置情報と稼働状況をリアルタイムに把握するシステム「K-Field」や導入を予定している作業員用スマートフォンとの連携を見込んでいる。
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