清水建設が北米のエンジニアリング会社を買収、株式の取得額は約5億円:産業動向
清水建設はこのほど、北米のエンジニアリング会社Perigon Internationalを買収した。今回の買収を弾みに、今後はさらに北米での事業拡大に取り組み、長期ビジョン「SHIMZ VISION 2030」で示した連結売上利益の事業構成「海外25%:国内75%」の実現を目指す。
清水建設はこのほど、北米におけるエンジニアリング事業の強化に向け、米ノースカロライナ州に本社を構えるエンジニアリング会社Perigon International(以下、Perigon)の全株式を取得し、北米事業統括法人の子会社としたことを2020年11月2日に発表した。株式の取得額は約5億円。
清水建設は、2020年4月1日付で北米における事業組織を再編した。具体的には、新設した持株会社Shimizu USA Holdingsの下に金融子会社と北米事業統括法人を置き、北米事業統括法人が複数の事業会社を傘下に抱える組織形態を構築している。北米事業統括法人は、各事業会社を通じ、建設事業やエンジニアリング事業、不動産開発事業を展開しており、Perigonはその傘下の一社となった。
Perigonは、1964年に設立されたエンジニアリング会社で、製造プロセスエンジニアリングを得意とし、化学・自動車関連メーカーなどを顧客に持ち、売上高は年間5億円前後に達する。清水建設の米国事業会社と協業した実績もある。
今後、清水建設は、Perigonに在籍する有能なプロフェッショナルエンジニアを通じた効果的な営業展開で、プロセスエンジニアリングのEPC(Engineering, Procurement, Construction)案件を年間約20億円受注していく計画を進める。また、Perigonとの人材交流で清水建設のエンジニアリング力を一層向上させる方針だ。
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