橋梁や高速の内部構造を3D仮想図で見える化した保全技術教育の支援ツール「PRETES-e」:空間情報シンポジウム2019(1/3 ページ)
ネクスコ・エンジニアリング北海道は、インフラの点検を行う技術者の育成を急務とし、橋梁や高速道路の内部構造の見える化を実現した保全技術教育の支援ツール「PRETES-e」を開発した。2019年度から本格運用を開始している。
インフォマティクスは2019年7月10日、東京都品川区の東京コンファレンスセンター・品川で、「空間情報シンポジウム2019」を地理情報システム学会と共催した。今回は、空間情報科学と令和を作る知恵をテーマに据えた。
本稿では、当日のセミナーのうち、NEXCO東日本グループのネクスコ・エンジニアリング北海道 道路事業部 保全計画部 保全企画課 課長の石黒将希氏が行った保全技術支援ツール「PRETES」の講演を取り上げる。
内部構造を可視化するMR活用
冒頭、石黒氏はインフラが抱える課題やPRETESの概要、開発の背景を紹介した。
道路やトンネル、橋梁(きょうりょう)といったインフラは、老朽化に伴い変状の発生が増加しており、保全業務の重要性が高まっている上、点検頻度が増え、専門技術者の増員が必要になっている。
こういった課題を解決するために開発されたのがPRETES。PRETESは、高速道路などの設計図面を基に、3D仮想図を作成し、実際の構造物に重ねることで、内部構造を見える化し、保全業務の高度化が図れる。
現実空間に仮想構造物などの情報を複合させるMR技術を採用。デバイスとなるヘッドマウントディスプレイ(HMD)にマイクロソフトの「HoloLens」、MRシステムにインフォマティクスの「GyroEye Holo」を使用している。仕様などのプログラムは、ネクスコ・エンジニアリング北海道とインフォマティクスが共同開発した。
「GyroEye Holoで2D図面から3D仮想図が作れることを知り、当社の管理している高速道路に活用できると考えたのが、このツールを開発するきっかけ。だが、MR映像は、何もない現実空間に、仮想映像を映し出すのが一般的な使用方法だっため、大規模な構造物に重ねるには、乗り越えなければならないことが2つあった」(石黒氏)。
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