港湾工事の天気待ちを減らせるか? 逆算型の工程管理で橋本組が県表彰受賞:導入事例
橋本組は、焼津漁港の防波堤工事で、冬季の強風リスクを回避する逆算型の工程管理を実施した。消波ブロック撤去の省略やコンクリート打設の並行で、施工期間を約1カ月短縮。強風など現場に制約がある中での対策が評価され、静岡県から表彰を受けた。
静岡県焼津市の橋本組は2026年9月29日、焼津漁港の防波堤工事で、冬季の強風リスクから逆算して施工工程を再設計し、強風の影響を受けやすい施工期間を約1カ月短縮したと発表した。天候を変えられない海上や港湾工事で、「風が吹く時期にできるだけ作業を残さない」という発想の転換が成果を上げた。
冬の強風を避ける“逆算型工程管理”、焼津港で約1カ月短縮
港湾工事では、強風や高波によってクレーン作業が止まると後工程へ遅れが連鎖する「天気待ち」が生じる。橋本組が受注した防波堤工事でも、夏場の熱中症や冬場の強風への対応が工程上の制約となっていた。
そこで、工事の支障となっていた数十個の消波ブロックについて、一度移動させて施工後に再び戻す作業をなくす施工方法へと変更した。クレーンを使用する工程を減らすことで、強風によって作業が止まる可能性を低減。さらに、約2600立方メートルに及ぶコンクリート施工を複数箇所で並行して進める体制を構築し、打設回数を当初の計画から8回削減した。
その結果、1月末から2月初旬を予定していた上部コンクリート工の完了を1月第1週へと前倒しした。
逆算型工程管理を担当したのは、前職を含めて現場監督として約10年の経験を持ち、2024年1月に橋本組へ入社した29歳の鈴木寛斗氏だ。自然条件そのものに対処するのではなく、自然条件にさらされる時間を短くするという鈴木氏の施工管理が高く評価され、「令和8(2026)年度静岡県優良建設工事等表彰」で交通基盤部長表彰の「優良技術者部門」を受賞した。
今回の表彰では、橋本組施工の別の2工事も表彰を受け、場所も内容も異なる3つの現場で、それぞれの制約に合わせた柔軟な施工管理と現場の判断が光る結果となった。
2026年度静岡県優良建設工事等表彰式では、橋本組が施工した3工事が選出された。左から、橋本組が施工した3工事の担当者。青木俊充氏(焼津中央高等学校管理教室棟新築工事)、鈴木寛斗(小川南防波堤改良工事)、杉山陸(焼津漁港海岸高潮対策工事) 出典:橋本組プレスリリース
「交通基盤部長表彰」に選ばれた焼津漁港での海岸高潮対策工事では、現場条件を踏まえて地盤改良をパワーブレンダー工法からWILL工法へ変更し、鋼矢板打込み作業の開始時間を午前8時から10時にずらして近隣への振動や騒音に配慮した。長期工事を無事故で完成させ、工事評点88点を獲得した。
また、「財務部長表彰」となった焼津中央高等学校の管理教室棟新築工事では、生徒と工事車両が同じ正門を利用するため、登校時間帯である午前8時から8時30分までの工事車両の出入りを禁止し、学校行事に合わせて工程を調整した。床や腰壁に使用する天然木を一枚ずつ見極めて配置するなど、仕上がりにもこだわった。
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