シート製減揺タンクを岸壁工事現場に導入、東亜建設工業と太陽工業が開発:海洋土木
太陽工業は、東亜建設工業と共同開発した「シート製減揺タンク」を、伏木富山港富山地区の岸壁工事へ初導入した。起重機船による吊りえい航と組み合わせることで、横揺れと縦揺れがそれぞれ約20%低減したという。
大型膜面構造物(テント構造物)や土木工事、物流資材などを手掛ける太陽工業は2026年6月、東亜建設工業と共同開発した「シート製減揺タンク」を伏木富山港富山地区の岸壁工事へ2025年10月に初めて導入したと発表した。
伏木富山港のケーソン工事で、浮遊時の動揺低減と施工省力化を実証
太陽工業の膜構造技術を応用したシート製タンクを採用し、えい航中の浮遊ケーソンの動揺を抑え、従来の鋼製タンクに比べて施工性を高めている。
近年、日本国内の港湾施設で、海上輸送の需要増加と貨物船の大型化などに対応するための国際物流ターミナル整備や防災/減災を目的とした津波対策などの観点から、防波堤の新設や延伸が進められている。
外洋に面した海域では、ケーソンが大型化することから、ケーソン式の防波堤や岸壁を築造する際には、巨大な起重機船を用いず、ケーソンを浮かべて施工場所まで小型の船舶でえい航して据え付ける方法が多く採用されている。しかし、波浪条件によっては浮遊ケーソンが大きく動揺するため、ケーソン上の作業員の安全性が懸念されたり、ケーソン据付の作業工程が制限を受け、作業船などの工事に必要な機材が長い期間拘束されたりする課題があった。
そこで東亜建設工業は、国立研究開発法人「海上・港湾・航空技術研究所港湾空港技術研究所」の研究開発推進事業を活用し、減揺タンクによる浮遊ケーソンの動揺低減技術の研究開発に取り組んできた。従来は、鋼製のタンクを使用していたが、太陽工業が長年培ってきた膜構造の設計・加工技術を生かし、シート製減揺タンクを共同開発するに至った。
導入した工事は、「令和6(2024)年度 伏木富山港(富山地区)岸壁(-10m)(2号)(改良)築造工事(その2)」。新湊地区から富山地区までケーソンをえい航する際にシート製減揺タンクを搭載した結果、起重機船による吊(つ)りえい航と組み合わせることで、ROLL(横揺れ)とPITCH(縦揺れ)がそれぞれ約20%低減したという。
また、シート素材を採用したことで、減揺タンクの設置と撤去を大幅に効率化。動揺の抑制により、えい航から据え付け、中詰め材投入までの一連の工程を安全かつ円滑に完了したという。
太陽工業は、本プロジェクトで得た知見をベースに、膜構造技術を用いた海洋土木分野へのソリューションを展開する。特に、長距離えい航や大型ケーソン施工が予想される港湾工事で、工事の安全性向上や工期の短縮、社会インフラ整備の生産性向上を図る。
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