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“セメントを使わないコンクリ”を東北大が開発 7割CO2削減と施工までの可使時間を両立:新建材
西松建設、東北大学、JFEスチールの共同研究チームが、セメントを用いない「アルカリ活性材料コンクリート」を開発し、鉄骨柱の保護コンクリート補修工事に適用した。製造時のCO2排出量が一般のコンクリートよりも7割ほど少なく、施工に適した流動性にも優れ、常温でも高い強度を有する。
西松建設は2025年2月17日、東北大学、JFEスチールとの共同研究チームが、セメントを用いない独自配合した「アルカリ活性材料コンクリート(AAMコンクリート)」を開発し、鉄骨柱の保護コンクリート補修工事に適用したと発表した。
AAMコンクリートの問題点だった流動性は製造後、2時間以上を維持
アルカリ活性材料コンクリートは、製鉄所で生じる副産物の高炉スラグ微粉末を粉体に用い、アルカリ溶液で硬化させたコンクリート。石灰石や珪石などを原料とする普通ポルトランドセメントを使用しないため、製造時のCO2排出量が一般のコンクリートと比べて7割程度少ない。
しかし、既存のアルカリ活性材料コンクリートは粘性が高く、製造してから10〜20分程度で流動性を失って固化が始まるため、長時間の打設作業や運搬を要する施工には適さなかった。
今回、研究チームは、アルカリ溶液の配合や成分比率を調整し、打ち込み作業に適した流動性を確保した。製造した後も2時間以上流動性が維持されるため、現場打ちでの施工や車両型ミキサーやアジテーター車での運搬が可能になった。
さらに、平均気温が13〜23℃程度の施工環境でも、普通ポルトランドセメントを用いた一般的なコンクリートと同程度の強度を発揮する。
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