環境配慮コンクリに石炭ガス化複合発電由来の細骨材利用、東電PGと大成建設:脱炭素
大成建設が設計・施工した千葉県印西市の洞道新設工事で、インバートの一部に石炭ガス化スラグ細骨材を使用した環境配慮コンクリートが採用された。石炭ガス化スラグ細骨材と環境配慮コンクリートを組み合わせて使用することで、互いの材料物性における課題が改善されることを確認している。
東京電力パワーグリッドは2025年1月20日、大成建設が設計・施工を手掛けた千葉県印西市の洞道新設工事で、インバート(歩床コンクリート)の一部に石炭ガス化スラグ細骨材を使用した環境配慮コンクリートを採用したと発表した。
石炭ガス化スラグ細骨材は、福島県で稼働する石炭ガス化複合発電(IGCC)で発生する副産物のスラグを使用し、JIS規格に適合するように粒度と粒形を調整したもの。大成建設の環境配慮コンクリート「T-eConcrete/セメント・ゼロ型」の砂代替としてこの細骨材を利用することで、コンクリート構成材料中の再生資源の利用割合を高め、環境性を向上させた。
T-eConcrete/セメント・ゼロ型は、セメントを使用せず、主に再生資源の高炉スラグと特殊な反応剤を使用して固めるコンクリート。材料製造時のCO2排出量を約80%削減し、従来と同様の製造/施工方法で同等以上の性能を発揮する。
通常のコンクリートに石炭ガス化スラグ細骨材を使用すると、配合によっては材料特性により材料分離(ブリーディング)が発生する他、アルカリシリカ反応による耐久性の低下が懸念される。一方、環境配慮コンクリートは通常のコンクリートに比べて粘性がやや高く流動性が低下する。
この課題に対し、石炭ガス化スラグ細骨材と環境配慮コンクリートを組み合わせて使用することで、互いの材料物性における課題が改善されることを確認している。
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