AWSが日本に新設するデータセンターに低炭素コンクリ採用、竹中工務店/清水建設/大林組と連携:カーボンニュートラル
AWSは竹中工務店、清水建設、大林組など複数のゼネコンと連携し、日本に新設するデータセンターの建設に低炭素コンクリートを使用する。
AWSは2025年1月31日、日本に新設するデータセンターの建設に環境配慮型コンクリートの採用を開始したと発表した。竹中工務店、清水建設、大林組など複数のゼネコンと協力して低炭素コンクリートを導入し、建物の建設から解体までの工事に伴い発生するCO2排出量(エンボディドカーボン)を低減する。
AWSはクラウドとAIサービスに対する需要拡大に対応するため、2027年までに日本へ2兆2600億円を投資する計画を明らかにしている。また、AmazonはGlobal Optimismと共同で「The Climate Pledge(クライメイトプレッジ)」を創設し、2040年までのネットゼロカーボン達成を目指している。
Amazonは自社インフラのエンボディドカーボン低減に向けて、低炭素鋼や低炭素型コンクリートを積極的に利用している。低炭素型コンクリートを使用したデータセンターは、グローバルで2022年の16件から2023年には36件に増加。さらに、2024年1月には自社設計基準を改定し、データセンター新設の際にはエンボディドカーボンを業界標準より35%低減するコンクリートの使用を必須とした。
各ゼネコンとの連携について
竹中工務店との連携では、セメントの6〜7割を高炉スラグの微粉末に置き換えた「ECMコンクリート」を基礎部分に使用。コンクリート由来の温室効果ガス排出量を低減する。AWS東京リージョンのデータセンター群は、地震対策としてデータセンターの基礎を大型化しているため、コンクリートの脱炭素化について大きな効果が期待できるとした。
また、別のデータセンターでは、清水建設の協力で、木質バイオマスを炭化した「バイオ炭」を混和した環境配慮型コンクリート「SUSMICS-C」を非構造体部分に採用。SUSMICS-Cは、木が成長過程で吸収したCO2を難分解性の炭素としてコンクリート内に固定化し、大気への放出を抑制する。SUSMICS-Cに含まれる2.6%のバイオ炭は、コンクリートに使用するセメントの製造過程で発生する温室効果ガスを相殺できる量に相当するという。
さらに、大林組と連携したデータセンターでは、セメントを高炉スラグ微粉末などに置き換え、従来型のコンクリートと比較して製造時のCO2排出量を約7割削減する「クリーンクリート」を採用。基礎下部に適用した。スラグの増量によりコンクリートと大気の反応がより速く進み、補強鉄材が腐食するリスクを回避するため、表面から30センチまでをクリーンクリートで打設し、24時間後に通常のコンクリートで仕上げる手法を採用した。
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