大成建設とNIMSが「革新的環境材料開発センター」設立 マテリアルズインフォマティクスなど活用:産業動向
大成建設と物質・材料研究機構(NIMS)は、茨城県つくば市のNIMS内に「NIMS-大成建設 革新的環境材料開発センター」を開設した。マテリアルズインフォマティクスなどを駆使して、カーボンニュートラルとサーキュラエコノミーへの移行を見据えた環境配慮型建設材料を共同開発する。
大成建設と物質・材料研究機構(NIMS)は2024年12月25日、茨城県つくば市のNIMS内に「NIMS-大成建設 革新的環境材料開発センター」を開設した。センターではマテリアルズインフォマティクスなどを駆使して、カーボンニュートラルとサーキュラエコノミーへの移行を見据えた環境配慮型建設材料を共同開発する。
マテリアルズインフォマティクスは、AIやデータ科学を活用して新素材の探索と設計を加速する手法だ。大量の材料データを解析し、材料の特性予測や設計最適化を行うことで材料開発を促進する。
センターでは、脱炭素性、リサイクル性、リユース性に優れた新素材の基礎研究と基盤技術開発、その実用化に取り組む。NIMSは主に物質/材料に関する基礎研究と基盤技術開発を、大成建設は主に材料の建築物への適用性検証と実用化を進める。
大成建設では、これまでコンクリートや鉄骨、木材を中心に研究開発を進めてきたが、今回の研究連携により高分子や複合材料にも領域を拡大する。これにより、建築物のライフサイクルカーボン削減に取り組む。
NIMSは物質/材料に関する研究を専門的に行う国立研究開発法人。前身の金属材料技術研究所、無機材質研究所時代からの強みである金属材料、無機材料に加えて、高度な機能性を有する有機材料にも強みを持つ。
新センターでは、建物の主要構造材であるセメントや鋼材などに加えて、断熱材をはじめとする機能性材料まで研究対象を広げ、全面的な材料革新に取り組んでいく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- “土木×AI”で起きる建設現場のパラダイムシフト(29):ロボットカーレースが転機となった「SLAM」は何がスゴイ?【土木×ICTのBack To The Basic Vol.2】
自動運転やAGVをはじめ、建設業界でも運搬ロボやドローンなどの用途で使われている「SLAM」。Simultaneous(同時に起こる) and Localization(自己位置推定) Mapping(地図作成)の略で「位置推定と地図作成を同時に行う」を意味します。位置推定と地図作成を同時に行うとはどういうことでしょうか。今回は、米国防高等研究計画局のロボットカーレースで広く知られるようになったSLAM技術を改めて解説します。 - AI:積水ハウスが生成AI開発のPFNへ出資 住宅事業のサービス向上へ
積水ハウスと積水ハウス イノベーション&コミュニケーションは、CVCファンドを通じて独自開発の生成AI技術を持つPreferred Networksへ出資した。 - スマートメンテナンス:目視では見えない橋内部の損傷可視化 東芝が全てのコンクリ橋に適用できる点検技術を確立
国内で5兆円規模ともいわれるインフラ構造物のメンテナンス市場だが、老朽化と土木従事者の不足の二重苦で、維持管理の効率化が社会課題となっている。そこで東芝は、目視では分からないコンクリ橋内部の劣化をIoTセンサーで可視化する技術を開発。今回、模擬橋梁を用いた検証を経て、車の種類や速度、橋の構造などあらゆる環境下のコンクリ橋でも統一基準で評価する技術を確立した。 - ZEB:本設太陽光パネルを仮設現場事務所で先行利用、『ZEB』認証を取得 戸田建設と村田製作所
戸田建設と村田製作所は、福井村田製作所の新研究開発センター建設工事において、本設で設置する太陽光パネルを仮設現場事務所で先行利用し、仮設事務所の「ZEB」認証を取得した。 - ロボット:墨出しロボで葛飾北斎の「神奈川沖浪裏図」を床面に描画 ドイツの測量展「INTERGEO 2024」で披露
未来機械は、ドイツで開催された「INTERGEO 2024」に出展し、墨出しロボットのプロッター方式印字機能を活用して葛飾北斎の「神奈川沖浪裏図」を床面に描いた。 - 建設ICTで切り拓く、現場の安全衛生と生産性の向上(7):建設DX実現までの指標となる“変革レベル”と、可能性を秘める生成AI【最終回】
連載最終回となる今回は、建設DXをどう進めていけばいいか分からない人の助けとなる“変革レベル”と、DXの要素技術として昨今注目を集めている生成AIについて解説します。