炭をコンクリートに活用、歩道用舗装材のCO2排出量を実質ゼロに フジタとトクヤマが開発:脱炭素
フジタはトクヤマと共同で、環境配慮型の歩道用舗装材「バイオ炭インターロッキングブロック」を開発した。歩道用舗装材に必要な曲げ強度を確保しながら、材料に木質バイオマスガス化発電の副産物である炭を活用して炭素を貯留することで、温室効果ガス排出量を実質ゼロとした。
フジタは2024年11月27日、トクヤマと共同で、環境配慮型の歩道用舗装材「バイオ炭インターロッキングブロック」を開発したと発表した。歩道用舗装材に必要な曲げ強度3.0N/平方ミリメートルを確保しながら、材料に木質バイオマスガス化発電の副産物である炭を活用して炭素を貯留することで、温室効果ガス排出量を実質ゼロとした。
建設業界では従来、産業副産物の有効利用とCO2排出量削減を目的に、高炉スラグ微粉末や石炭灰のフライアッシュをセメントの一部に置き換えた混合セメントが利用されている。しかし、混合セメント単体でコンクリート製品の材料由来のCO2排出量をゼロとするのは難しいため、フジタとトクヤマは30〜80%の炭素含有量を持つ炭に着目し、技術開発に取り組んできた。
炭はコンクリート製品に混合することで炭素貯留が行える一方で、粒子が細かいためコンクリートの材料としての利用は難しかった。そこで、炭を大きな粒状に加工して炭素成形体とすることで、骨材としての使用を可能にした。
バイオ炭インターロッキングブロックは、一般のブロックと比較して保水性が高く(JIS推奨仕様値比で保水量167%、吸上げ率130%)、保水性舗装として路面の温度を下げ、ヒートアイランド現象の緩和が期待できる。
今回開発したバイオ炭インターロッキングブロックは、トクヤマグループのトクヤマアートブロックLABOで製造が可能。今後はブロックの適用規模拡大に向けて、曲げ強度や保水性などの性能向上と安定供給体制の構築を進める。
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