CO2排出量を110%削減するプレキャストコンクリート製造技術を開発、鴻池組とケイコン:脱炭素
鴻池組とケイコンは、環境配慮型コンクリート「Kcrete」を用いたプレキャストコンクリート製品の製造技術を共同開発した。ケイコンの京都工場で製造したところ、強度発現性や生産性が従来品と同レベルなことを確認している。
鴻池組はケイコンと共同で、環境配慮型コンクリート「Kcrete(ケイクリート)」を用いたプレキャストコンクリート製品の製造技術を開発したと2024年9月に発表した。
使用材料に関わるCO2排出量を最大110%削減=カーボンマイナス
鴻池組は、KcreteでCO2吸収コンクリート「Kcrete N」と低炭素型コンクリート「Kcrete L」の2種類を実用化しており、プレキャストコンクリート製品に応用するべく、ケイコンと共同開発を進めていた。
Kcrete Nは、CO2を資源として製造されたコンクリート用材料のCCU(Carbon Capture and Utilization)材料「Kcal(ケイカル)」を用い、CO2を間接的に吸収する。Kcalの使用量が増えるにしたがってCO2排出量が低下し、最大で110%の減少が見込め、排出量をマイナスにできる。
両社は、ケイコンの京都工場でKcreteを用いたプレキャストコンクリート製品を製造し、強度発現性や生産性が従来品と同レベルと確認した。
また、屋外でも製品を1カ月置いた後にトレント法で透気係数を測定した。その結果、5段階評価で最も高い「優」を得ており、緻密性に優れることを確認している。両社は今後、実工事で試用して実証を進める。
Kcal自体は、排ガス由来のCO2や副生成物中のカルシウム源を原料とする建設材料用途の軽質炭酸カルシウム。鴻池組と高圧ガス工業、白石工業、吉澤石灰工業の4社が、2023年に製造プロセスを共同開発した。今後は、生産量の増加に向け、さまざまなカルシウム源の適用を進める。
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